【ローレルクラブ募集馬】ファーストチェアの2023(牝 父サートゥルナーリア)

今年のローレルクラブ当歳馬募集には、当場からファーストチェアの2023(牝、父サートゥルナーリア)を提供させていただきました。

 

 

彼女は、離乳後の中期育成への第一陣として、繁殖分場からアメージングムーンの2023たちと一緒に1歳分場(高江第1分場)に移動してきました。

1歳分場に移動してローレルクラブで当歳馬募集が開始されてから、キャンペーンが実施されたこともあって、現在に至るまで多くの会員様にご見学いただいてます。

ただ、キャンペーン期間中に一時的に右前蹄に挫跖の症状が出た関係で、彼女の歩様をご確認いただけなかった会員様もいらっしゃいました。

遠方からご来場いただいたのにもかかわらず、彼女の本来の歩様をお見せできず申し訳ございませんでした。

その挫跖も数日で改善して、すぐに昼夜放牧に戻っています。

その後は現在に至るまで、順調に成長している状況です。

 

父のサートゥルナーリアは、現役時にG1ホープルSとG1皐月賞を勝つなど、芝中距離で活躍した馬でした。

彼の父ロードカナロアは、本年における種牡馬リーディングのトップを快走中の名種牡馬です。

また、彼の母は名牝シーザリオであり、半兄にはエピファネイアとリオンディーズという、ともに重賞勝ち馬を出している種牡馬がいる素晴らしい血統背景の持ち主です。

当場でも、彼の種牡馬入り初年度から毎年配合するなど、大きな期待をしている種牡馬の一頭です。

サートゥルナーリアの血統で大きな特徴と言えば、Nureyev≒Sadler’s Wellsによる3/4同血クロスでしょう。

 

 

この近親クロスは、世界的にはKingmambo×Sadler’s Wells系のニックという形で成功しているパターンが多く、サートゥルナーリアもまたその血統パターンを踏襲しています。

半兄リオンディーズ(G1朝日杯FS勝ち)も父がKingmambo系のキングカメハメハなので、このパターンに属します。

本馬の配合においては、父サートゥルナーリアの持つNureyev≒Sadler’s Wellsの近親クロスを、母方にあるNureyev(ジャングルポケットの母父)と組み合わせることで継続強化する狙いがあります。

Nureyev≒Sadler’s Wellsの影響が強い馬は、この組み合わせのなかにSpecialの牝馬クロスを含むことが関係してか、瞬発力を伴う芝馬が多い印象なので、本馬もそういうタイプに出る可能性は感じています。

馬体的にも、牝馬ながら幅もあって力強い体型をしている一方で、歩かせると可動域の広いバネの効いた歩様を見せてくれます。

父サートゥルナーリアについて話を戻すと、彼の血統においてはStorm Cat≒マルゼンスキーによる相似クロスも見逃せません。

 

 

Storm Bird≒Nijinskyの関係があるほか、どちらの血脈もPrincequilloの血を持つ点で共通しています。

また、5代表ではわかりませんがFirst Rose≒Tom Foolの関係もあり、全体としてStorm Cat≒マルゼンスキーの相似クロスは親和性が高い関係だと言えます。

これは半兄リオンディーズにはない相似クロスであり、個人的にリオンディーズよりサートゥルナーリアの血統を好む理由の一つでもあります。

実際に当場では、マルゼンスキーの血が入っているモガミヒメ牝系に対してStorm Catの血を持つヘニーヒューズやキズナを頻繁に配合していることは、元ローレルクラブ募集馬ダンケシェーンや現役の重賞勝ち馬ディープボンドたちを通じて会員の方々もご存じのはずです。

ただ、本馬の配合に関してはStorm Cat≒マルゼンスキーを活かし切れた配合とは言えないと思っています。

それは配合段階からわかっていたことで、むしろNureyev≒Sadler’s Wellsの影響をストレートに伝えようとするならば、このほうが良いかもしれないと感じています。

本馬の血統においては、本馬の2代母マイケイティーズの血統背景もポイントになってくると考えています。

本馬の2代父キングカメハメハ、父の母シーザリオそして本馬の母父ジャングルポケットにはそれぞれNorthern Dancerの血が含まれていますが、マイケイティーズの血統にはそれがありません。

結果として、本馬の血統においてはマイケイティーズの部分だけ他の血脈とは異なる傾向を示すことになりますが、それは同時に本馬の血統に活力を与えてくれることにつながる可能性もあります。

また、マイケイティーズの血統傾向がほかとは異なるとはいえ、それは血の質が低いことを意味するものではありません。

彼女の父は名種牡馬サンデーサイレンスですし、彼女の母ケイティーズファーストはHyperionの影響が強かったり、Relance=ポリックの全きょうだいクロスを持つなど、マイケイティーズは質の高い血統パターンをしています。

 

 

実際、ケイティーズファーストの孫にあたるエフフォーリアはG1を3勝するなどして、JRAの年度代表馬に選出されています。

そのエフフォーリアと本馬は血統背景が似ています。

 

 

どちらもケイティーズファーストの牝系出身であり、エフフォーリアの母ケイティーズハートと本馬の母ファーストチェアは血統的親和性の高い関係にあり、さらにそれぞれの父はいずれもシーザリオの息子のエピファネイアとサートゥルナーリアです。

 

本馬の血統背景からは、おそらく芝中距離あたりに適性を示しそうな気がしています。

ファーストチェアという繁殖牝馬は、ハービンジャーのような芝適性の高い種牡馬を配合すると芝馬を出しますし、ヘニーヒューズのようなダート種牡馬を配合するとフルデプスリーダーのようなダート馬を出します。

本馬の場合はサートゥルナーリア産駒なので、おそらく芝に適性を示すのではと考えています。

牝馬としては十分な馬格のサイズで、骨格もしっかりしていて幅も程よくある馬体なので、この順調な成長曲線を将来に向けて続けられるように飼養管理に努めていきます。

出資検討されている会員の皆さまに、この記事が検討材料の一つになれば幸いです。

なお、今月末あたりに今年の全当歳馬の測尺を行う予定があり、本馬の測尺はそれを受けて来月以降の近況報告でご紹介できる予定です。

もうしばらくお待ちください。

 

クラブ馬2頭が育成場へ移動

当場から提供させていただいたクラブ募集馬2頭につきまして、育成場への移動が完了したのでご報告させていただきます。

まず7月27日に、ローレルクラブ提供馬で当場生産のアメージングムーンの2022(牝、父ドゥラメンテ)がファンタストクラブへ移動しました。

当初は8月上旬の移動も考慮していましたが、育成場さんとの話し合いのなかで7月下旬のほうが馬房調整がしやすかったようですので、移動が遅れるよりは早い方が良いと判断して7月下旬での移動となりました。

到着時に育成場さんで計った馬体重は511kgでしたが、比較的草太りした体型での引渡しだったので、いずれシェイプアップした馬体で育成されていくものと予想しています。

 

また、8月10にはターファイトクラブ提供馬で当場生産のメジェルダの2022(牝、父ミスターメロディ)が小國スティーブルに移動しました。

こちらも8月の早い段階で移動させたいと考えていましたし、育成場さんとの調整もできたので、このタイミングでの移動となりました。

到着時に育成場さんで計った馬体重は468kgでした。

本馬はあまり草太りしない馬体なので、ターファイトクラブの展示会ツアーでお見せした雰囲気の馬体で引き渡せたと思います。

 

結果的にアメージングムーンの2022は母と同じ育成場さんに、メジェルダの2022は半兄メディーヴァルと同じ育成場さんにお願いする形になりました。

それぞれ血統や馬体、気性をといった特徴を把握していただいてる育成場さんに移動したことは、彼女たちの今後を考えるとプラスになると考えています。

彼女たち2頭にご出資いただいた皆さま、育成場への移動後も引き続きよろしくお願いいたします。