【サマーセール】№831フルオブスターズの2024(牡 父ホッコータルマエ)

当場から、8月21日のサマーセール4日目に生産馬3頭を上場予定です。

3頭のうち、最後に紹介させていただくのは№831フルオブスターズの2024(牡、父ホッコータルマエ)です。

本馬の牝系解説文(ブラックタイプ)はこちらからご参照ください。

 

 

【8月13日現在】体高155cm 胸囲173cm 管囲20.6cm 馬体重430kg


 

本馬は、当場1歳分場にて昼夜放牧しながらセリ馴致中です。

当場の方針として、当場内でセリ馴致する際はセールに上場することだけを目的とせず、将来の競走馬という意味でもしっかりと基礎体力を付けて送り出したい思いから昼夜放牧も同時に実施しています。

結果としてG2日経新春杯勝ちのモズベッロ、国内外の重賞を4勝したディープボンド、G3エルムS勝ち馬フルデプスリーダー、昨年のG2札幌記念のほかG2AJCCとG3エプソムCの勝ち馬ノースブリッジ、そして先日のG3アイビスサマーダッシュを含めて重賞3勝のピューロマジックたちが活躍馬として出てくれていますが、彼らは当場生産のセール上場馬です。

また、サマーセール上場馬に限定すると、JRAでOPクラスまで行ったオセアダイナスティ(2019年サマーセール取引馬)や、現役馬ではダートOPを3連勝して今年のG3函館スプリントS3着のドンアミティエ(2021年サマーセール取引馬)などが当場生産のサマーセール上場馬になります。

正直なところ、昼夜放牧をしながらセリ馴致をすると疲労が溜まりやすいのですが、そのあたりは獣医に相談するなどして適切なケアをしてもらって対応しています。

これまで同様、セール当日に向けて細心の注意を払いながらセリ馴致を進めていきます。

 

本馬の父ホッコータルマエは、現2歳世代を含めると6世代がデビューしていることになります。

そのなかで、今年初めてJRA重賞制覇のブライアンセンス(G3マーチS)を出しました。

これだけ見ると種牡馬成績がイマイチに感じるかもしれませんが、JRAでの産駒の勝ち馬率は35%を越えます。

また、交流重賞勝ち馬としては初年度産駒からレディバグ(Jpn3)、メイショウフンジン(Jpn3)、2年目産駒からブリッツファング(Jpn2)、3年目産駒からはゴライコウ(Jpn3)が出ています。

さらに地方重賞まで視野を広げると、20頭近い重賞勝ち馬が出ていて、JRAも含めてダート路線では信頼できる種牡馬になってきています。

ホッコータルマエ自身はダート中距離が得意でしたが、産駒に関してもある程度の距離のダートで成績を残している印象です。

本馬はダート血統の割りには軽めの馬体をしていて、そのなかでも四肢の筋肉がしっかり付いていますが、これはホッコータルマエ産駒にしばしば見られる特徴です。

また、本馬はケンタッキーダービーとBCクラシックを制したUnbridledを4×3で持っていて、血統的にもダート中距離に適性を示す可能性を感じさせます。

 

そのホッコータルマエについて、獲得賞金上位50頭の産駒の血統傾向を調べてみると以下のような特徴が見られました。

 

①母方にHaloの血を持つ産駒 34頭/50頭

②産駒の母方にNasrullah/Princequilloの組み合わせに代表されるようなNearco系×Prince Rose系のニックから成る血脈が存在する 33頭/50頭

③Mr.Prospectorのクロスを持つ産駒 26頭/50頭

④Njiinskyクロスを持つ産駒 19頭/50頭

⑤Buckpasserクロスを持つ産駒 14頭/50頭

⑥母方にRobertoの血を持つ産駒 12頭/50頭

 

①の母方にHaloの血を持つ産駒については、母方にHaloの息子であるサンデーサイレンスの血が入っていれば該当する項目です。

現代日本のトレンド血脈なので、ほとんどの繁殖牝馬が持つ血脈とも言えます。

本馬の母フルオブスターズも母父がサンデーサイレンスなので、①に該当します。

②のNearco系×Prince Rose系のニックから成る血脈というのは例えばSecretariat、Seattle Slew、Sir Gaylord、Riverman、Mill Reefのような血脈が該当します。

本馬は母方にSecretariatの血を持つので、②にも該当します。

③のMr.Prospectorのクロスを持つ産駒については、本馬がMr.Prospector4*6×4*5を持つので③にも該当します。

本馬は、④のNjiinskyクロスを持つ産駒には該当しません。

⑤のBuckpasserクロスを持つ産駒については、本馬はこのクロスを持つので該当します。

最後に、本馬は⑥の母方にRobertoの血を持つ産駒には該当しません。

①~⑥の特徴は、他の種牡馬の産駒にもよく見られる特徴であり、繁殖牝馬側も持っている可能性の高い血脈だと思います。

言い方を変えれば、ホッコータルマエはほとんどの繁殖牝馬と相性の良さを発揮する種牡馬と思われ、その結果として産駒の勝ち率が35%以上になっているとも考えられます。

本馬も、6つの項目うち4つの項目を満たしているので、ホッコータルマエ産駒として活躍できる素地はあると考えています。

本馬の血統で、上記6つの項目以外の血統的特徴を挙げるならば、本馬にはトライマイベスト=El Gran Senorの全きょうだいクロス5×4が存在することでしょう。

キングカメハメハ系種牡馬の産駒にはこの全きょうだいクロスを持つ馬が複数存在していて、最近では牝馬3冠を達成したリバティアイランドや今年のG3ダービー卿チャレンジT勝ちのトロヴァトーレなどがこの血統パターンです。

 

 

特にトロヴァトーレは、本馬と同じ母父エンパイアメーカーで、自身もMr.Prospectorクロスを持つ点まで同じです。

トライマイベスト=El Gran Senorの全きょうだいクロスを持つ馬はパワーに優れている印象を受けますが、それだけに大舞台のレースに強いのでしょう。

 

本馬は4月18日生まれで、体高は他馬と遜色ないとはいえ、これからグンと身が入ってきそうな成長途上の段階です。

それでも、ホッコータルマエ産駒らしい雰囲気のあるシルエットをしていますし、気性面でもセリ馴致が進むに連れて大人びてきた印象です。

セール当日まで1週間を切っていますが、良い状態で上場できるように最後まで気を抜くことなく飼養管理に努めてまいります。

 

本馬に関してお問い合わせがございましたら牧場公式サイトからご連絡いただくか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入くださるようお願いいたします。

当場から折り返し連絡させていただきます。

 

【サマーセール】№807ハーランズワンダーの2024(牡 父ディープブリランテ)

当場から、8月21日のサマーセール4日目に生産馬3頭を上場予定です。

今回は、そのうちの№807ハーランズワンダーの2024(牡、父ディープブリランテ)を紹介させていただきます。

本馬の牝系解説文(ブラックタイプ)はこちらからご参照ください。

 

 

【8月13日現在】体高153cm 胸囲179cm 管囲20.4cm 馬体重466kg


 

本馬は、当場1歳分場にて昼夜放牧しながらセリ馴致中です。

当場の方針として、当場内でセリ馴致する際はセールに上場することだけを目的とせず、将来の競走馬という意味でもしっかりと基礎体力を付けて送り出したい思いから昼夜放牧も同時に実施しています。

結果としてG2日経新春杯勝ちのモズベッロ、国内外の重賞を4勝したディープボンド、G3エルムS勝ち馬フルデプスリーダー、昨年のG2札幌記念のほかG2AJCCとG3エプソムCの勝ち馬ノースブリッジ、そして先日のG3アイビスサマーダッシュを含めて重賞3勝のピューロマジックたちが活躍馬として出てくれていますが、彼らは当場生産のセール上場馬です。

また、サマーセール上場馬に限定すると、JRAでOPクラスまで行ったオセアダイナスティ(2019年サマーセール取引馬)や、現役馬ではダートOPを3連勝して今年のG3函館スプリントS3着のドンアミティエ(2021年サマーセール取引馬)などが当場生産のサマーセール上場馬になります。

正直なところ、昼夜放牧をしながらセリ馴致をすると疲労が溜まりやすいのですが、そのあたりは獣医に相談するなどして適切なケアをしてもらって対応しています。

これまで同様、セール当日に向けて細心の注意を払いながらセリ馴致を進めていきます。

 

本馬は、ディープブリランテ産駒のなかでも、収得賞金第2位の当場生産馬モズベッロ(G2日経新春杯勝ち)の甥にあたる血統です。

両馬とも父が同じなので、血統的に本馬とモズベッロは3/4同血の関係になります。

 

 

本馬の馬体の雰囲気は父似と言っていいでしょう。

明るい鹿毛やディープインパクト系にしては肉付きが良く、特に四肢の筋肉量が豊富なのはディープブリランテの特徴であり、また本馬の特徴でもあります。

そのためか、ディープ系のダービー馬(芝馬)にもかかわらず、彼の産駒は勝ち鞍の7割が芝なのに対して、ダートも3割勝ち鞍があるのは注目すべき点です。

ディープブリランテあるいはその産駒たちが受け継いでいる力強い馬体が、彼ら産駒にダート適性の高さを伝えていると推測することは容易でしょうし、実際に本馬もそのカテゴリーに属する馬体をしていると思います。

ディープ系らしく芝に適性を示すくらいの柔軟性を備えている一方、明らかにパワータイプの馬体でもあるのでダート適性も高いと見るべきでしょう。

 

さて、そのディープブリランテ産駒に関して、獲得賞金上位50頭の産駒の血統傾向を調べてみると以下のような特徴が見られました。

 

①母方にMr.Prospectorの血を持つ産駒 30頭/50頭

②Hail to Reasonのクロスを持つ産駒 24頭/50頭

③Halo(もしくはその息子サンデーサイレンス)のクロスを持つ産駒 17頭/50頭

④母方にNijinskyの血を持つ産駒 18頭/50頭

⑤母方にGraustark(もしくはその全弟His Majesty)の血を持つ産駒 13頭/50頭

 

①のMr.Prospectorの血については、スピード優位の日本競馬においては、北米血脈のなかでも代表的なスピード血脈であるMr.Prospectorの血を持つ馬自体が珍しくありません。

それでも、ディープブリランテ産駒という観点からは、後述の血統的特徴とも関連するのがこのMr.Prospectorだと思います。

本馬は、母がMr.Prospectorクロスを持つので①に該当します。

②のHail to Reasonクロスに関しては、③のHaloとも関連してきます。

なぜなら、HaloはHail to Reasonの息子だからです。

また、このHail to Reasonを持つ産駒24頭のうち、母方にHail to Reasonの息子Robertoを通じて持つ産駒は17頭もいました。

そのRobertoという血は、父と母がよく似た血統構成の父母相似配合のパターンをしています。

 

 

そして、このHail to ReasonやRobertoと相性が良い血が、①で指摘したMr.Prospectorです。

正確には、Hail to ReasonとMr.Prospectorの母Gold Diggerが相似クロスを形成する関係にあります。

 

 

いずれもBlue LarkpurやSir Gallahad=Bull Dogの血を持ち、Royal Charger≒Nasrullahの関係もあります。

本馬はHail to Reasonクロスを持ちませんが、2代母ハーランズルビーがHail to Reasonの息子であるHaloを4×3で持つので類似した血統パターンを持ちます。

③のHaloもしくはサンデーサイレンスのクロスを持つ産駒については、前述の②でも言及した通り、Haloの父Hail to Reasonの血が関係していると思います。

本馬はHaloクロスを持つので③に該当します。

④の母方にNijinskyの血を持つ産駒については、本馬はこの血を持たないので④には該当しません。

⑤の母方にGraustark(もしくはその全弟His Majesty)の血を持つ産駒についても、本馬は該当しません。

ちなみに、本馬の血統には関係ありませんが①Mr.Prospectorの血を持ち、④のNijinskyや⑤のGraustarkの血も持つ、ディープブリランテにとっては効率の良い血脈があります。

それが、キングカメハメハです。

実際、獲得賞金上位50頭のディープブリランテ産駒のうち、6頭が母父キングカメハメハでした。

当場生産馬においても、JRAでOPクラスまで行ったタイセイブリリオが母父キングカメハメハです。

 

 

このように、当場においてはディープブリランテとの配合においても、モズベッロとタイセイブリリオという2頭のOP馬が出ているように相性の良い種牡馬です。

本馬も、父の産駒らしい肉付きが良く明るい鹿毛馬で、皮膚感も含めて張りのある健康的に見せる馬体をしています。

牡馬らしく少し頑固な面を持ちながらも、引き運動やウォーキングマシン、馬運車の乗り降り練習などセリ馴致をここまで順調にこなしてくれました。

セール当日まで残り数日ですが、最後まで気を抜かずにセリ馴致を含めた飼養管理に努めてまいります。

 

本馬に関してお問い合わせがございましたら牧場公式サイトからご連絡いただくか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入くださるようお願いいたします。

当場から折り返し連絡させていただきます。

 

【サマーセール】№763スルターナの2024(牡 父シルバーステート)

当場からは、8月21日のサマーセール4日目に生産馬3頭を上場予定です。

今回は、そのうちの№763スルターナの2024(牡、父シルバーステート)を紹介させていただきます。

本馬の牝系解説文(ブラックタイプ)はこちらからご参照ください。

 

 

【8月13日現在】体高153cm 胸囲178cm 管囲20.4cm 馬体重463kg


 

本馬は血統的に先月開催されたセレクションセールに合格できたレベルですが、春時点での体高がそれほど大きくなかったので、セレクションセールには申し込まず、あえてサマーセールまで待つことにした馬です。

その間も当場1歳分場にて昼夜放牧をしながら、セリ馴致を行ってきました。

当場の方針として、当場内でセリ馴致する際はセールに上場することだけを目的とせず、将来の競走馬という意味でもしっかりと基礎体力を付けて送り出したい思いから昼夜放牧も同時に実施しています。

結果としてG2日経新春杯勝ちのモズベッロ、国内外の重賞を4勝したディープボンド、G3エルムS勝ち馬フルデプスリーダー、昨年のG2札幌記念のほかG2AJCCとG3エプソムCの勝ち馬ノースブリッジ、そして先日のG3アイビスサマーダッシュを含めて重賞3勝のピューロマジックたちが活躍馬として出てくれていますが、彼らは当場生産のセール上場馬です。

また、サマーセール上場馬に限定すると、JRAでOPクラスまで行ったオセアダイナスティ(2019年サマーセール取引馬)や、現役馬ではダートOPを3連勝して今年のG3函館スプリントS3着のドンアミティエ(2021年サマーセール取引馬)などが当場生産のサマーセール上場馬になります。

これまで同様、セール当日に向けて細心の注意を払いながらセリ馴致を進めていきます。

 

母のスルターナは、JRA4勝のうちデビュー戦こそ函館の洋芝1000で勝ち上がってますが、あとの3勝はダート1400~1800で挙げたものです。

また、交流G3ブリーダーズゴールドC(門別ダート2000)4着の実績もあります。

スルターナは、当場が長年試してきたキングヘイロー×モガミヒメ牝系の配合から生まれています。

詳しくは、当場の旧ブログのほうで紹介したことがあるので、興味のある方は以下のリンクからご参照ください。

 

【血統・配合】キングヘイロー×モガミヒメ牝系 ③キングヘイロー×モガミヒメ牝系の配合~スルターナ編~

 

このような血統背景を持ち、現役時代は480kg台と恵まれた馬体で競馬していたスルターナに、種牡馬としては少し小柄ですがスピードと瞬発力に優れたシルバーステートを配合して本馬が誕生しました。

現状は、その父に似て体高が少し小柄に推移していますが、まだ腰高でこれからもっと大きくなる雰囲気を持っているのは母の影響があるかもしれません。

実際、母譲りの力強い馬体でもあるので母同様にダート向きかと思わせる一方で、この牝系らしい緩さのなかにも軽やかな歩様をする馬なので芝適性も感じさせます。

母が芝・ダートで勝ち鞍があることを考えると、本馬にも適性の幅はありそうです。

父シルバーステートの視点から考えるならば、シルバーステート×キングヘイロー牝馬の配合からG3勝ち馬ウォーターナビレラとJRA4勝して現OPクラスのテーオーソラネルが出ている点には注目しておきたいです。

 

 

いずれもシルバーステート×キングヘイロー牝馬の配合で本馬と同じです。

この配合はHaloクロスが生じるのがポイントである一方、ディープインパクト≒キングヘイローの相似クロスによる相性の良さも関係していると考えています。

 

 

どちらの血脈もHalo、LyphardそしてSir Ivorを持つ点で共通しています。

ディープインパクト≒キングヘイローの組み合わせは今後も活躍馬を輩出すると予想しますが、当場生産馬の重賞勝ち馬ディープボンドやG1を6連勝したイクイノックス(ディープの全兄ブラックタイドとキングヘイローの組み合わせ)など、すでに重賞戦線で活躍している馬もいます。

 

本馬はまだ成長途上で、後期育成に入ってからさらに変わってきそうな気配があります。

気性的にもどっしりとしていて、セリ馴致を通じて他の1歳馬よりもさらに大人びた印象です。

セール上場日まで約1週間となりましたが、最後まで気を抜かず良い状態で上場できるように飼養管理に努めてまいります。

本馬に関してお問い合わせがございましたら、牧場公式サイトからご連絡いただくか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入くださるようお願いいたします。

当場から折り返し連絡させていただきます。

 

【ターファイトクラブ募集馬】ルイヴィルファーストの2024(牝 父Gun Runner)

すでに数日経過していますが、ターファイトクラブの1歳追加募集馬の募集が始まっています。

当場からは、今回ルイヴィルファーストの2024(牝、父Gun Runner)を提供させていただくことにしました。

 

 

【8月5日現在】体高162cm 胸囲181cm 管囲20.9cm 馬体重497kg

 

本馬の母ルイヴィルファーストは、当場が米国キーンランド繁殖馬セールで購買した馬です。

Gun Runnerの仔を受胎している繁殖牝馬を欲していたわけではありませんでしたが、自身が少なくともステークス勝ちを収めている馬が望ましいと考えていました。

その上で馬体のつくりや歩様が良く、気性面でも問題ない馬をピックアップするなかで、購買候補に残ったのが彼女でした。

結果として、米国トップタイの種付料を誇るGun Runnerの仔を受胎した繁殖牝馬を購買できたことは幸運でした。

 

そのGun Runnerは、米国にて3歳時にG1を1つ勝ったのち、4歳になってからは9F~10FのG1を4連勝していて、競走成績だけ見ると完成は古馬になってからという中距離タイプの馬でした。

ただ、種牡馬入りしてからはさらに素晴らしく、初年度産駒からEcho Zulu(G1BCジュベナイルフィリーズなど2歳G1を3勝を含む米G1を4勝)、Taiba(3歳時に米G1を3勝)、Gunite(米2歳G1を含むG1を2勝)、Cyber Knife(3歳時に米G1を2勝)、Society(米牝馬G1を2勝)、Early Voting(米3歳G1プリークネスS勝ち)と計6頭ものG1勝ち馬を輩出しています。

Gun Runner自身の競走成績は古馬になってから大成しましたが、産駒は2歳戦のG1から好走する馬も出ていることから、種牡馬としての評価を一気に上げる形になりました。

 

一方、本馬の母ルイヴィルファーストは米国にて16戦3勝、芝7Fのステークス勝ちがあります。

3勝のうち未勝利勝ちはダートで、他の2勝は芝によるものです。

ただ、繁殖牝馬になると、これまで米国に残してきた産駒はほぼすべてダート勝ち馬になります。

初仔のUnder the Gun(父Gun Runner)…米3勝、うちオールウェザー6.5Fで1勝、ダート7Fで2勝

2番仔のHallow Point(父Gun Runner)…米2勝、ダート5.5Fとダート7Fで勝ち鞍あり

3番仔のCopper Bound(父Copper Bullet)…米3勝、うちダート6.5Fで2勝、ダート8.5Fで1勝

4番仔のTapit First(父Tapit)…米1勝、ダート4.5Fで勝ち鞍あり

そして、本馬は5番仔になります。

彼女の父、そして本馬の母父にあたるGirolamoは、米G1ヴォスバーグS(ダート6F)を勝っています。

それほど馴染みのある名前ではないかもしれませんが、血統的には米国のなかでも超良血の部類に入る血統背景をしています。

 

 

名牝Numbered Accountに遡る牝系で、Girolamo自身はBuckpasser4×4やGlamour5×5の牝馬クロスなど、名牝系出身だけではない優れた血統パターンをしています。

また、A.P.Indy系×Mr.Prospector系牝馬という組み合わせは、名種牡馬Tapitや、日本ではフォーエバーヤングやダノンデサイルの母父Congratsとも同じ配合です。

特に、CongratsとGirolamoは2代母の父がNorthern Dancerである点まで同じで、かなり似通った血統背景をしています。

 

 

このような血の質が高い血統は、母方に入ると後世に好影響を与える傾向にあり、実際にGirolamoの娘ルイヴィルファーストも米国に残してきた産駒が全頭勝ち上がっています。

さらに言えば、Gun Runner産駒という視点から見ても、GirolamoのようなA.P.Indy×Mr.Prospector牝馬という組み合わせの血脈が入ると活躍傾向にあります。

具体的には、米G1を3勝していてフォーエバーヤングのライバルの一頭と目されるSierra Leone、米G1を3勝しているTaiba、米G1を2勝しているLockedといったGun Runner産駒はすべて同じ血統傾向を持ちます。

実際に、ルイヴィルファーストの2024と各馬の血統を血統表で比較してみましょう。

 

 

米牝馬G1を2勝のSocietyも母父がTapitなので、5代表の比較では分かりづらいのでここには掲載しませんが、本馬の血統と相似性が高い関係です。

このように、A.P.Indy系×Mr.Prospector系の組み合わせを持つ血脈が母父に入るGun Runner産駒は活躍傾向にあります。

本馬もまさにこの血統パターンなので、高い素質は秘めていると感じています。

 

ルイヴィルファーストの産駒を当場ではじめて育てること、またGun Runner産駒も当場にとって初めて産ませたことから、どのような成長曲線を描くかわからないこともあって1歳時まで成長を見守ってきました。

かなり早い段階からクラブ提供を視野に入れていましたが、あくまでしっかりと成長してくれることが大前提でした。

結果として、こちらが期待した以上に立派な馬になってくれました。

米国血脈らしい繋が立ち気味の馬体で、牝馬ながら四肢の筋肉が発達していて、特にトモの筋肉量は牡馬に匹敵するくらいです。

おそらくダートの短めのレースが主戦場になるかと思いますが、ダート馬でも構わないと思われる会員の皆さまには、是非出資をご検討くださると幸いです。

なお、本馬は数日以内に育成場に移動予定となっております。

今後の本馬の近況については、ターファイトクラブさんからの情報をご参考くださいますようお願いいたします。

 

 

当場生産馬のピューロマジック号がG3アイビスサマーダッシュを快勝!

8月3日、新潟第7RのG3アイビスサマーダッシュに当場生産馬のピューロマジック号が出走しました。

 

 

私は8月2日に東京で開催されたターファイトクラブの募集馬検討会に出席して、翌日に新幹線で新潟に移動して本馬を現地応援してきました。

北海道も暑い日が続いていますが、東京や新潟の暑さはそれ以上で参りました(苦笑)

ピューロマジック自身は重賞2勝の実績や、ドバイG1アルクォーツスプリントでの好走も影響してか、2番人気に支持されていました。

もしかすると、全兄メディーヴァルが同舞台の韋駄天Sを勝っていることも加味されたかもしれません。

そのピューロマジックは、レース前から控える競馬をさせると聞かされていましたし、それを受けてのルメール騎手指名だった模様。

パドックでは他馬に比べてテンションが高そうに見えたものの、あとで厩舎関係者の方と話したら、以前ほどの感じではなくなっているとのことでした。

実際、いままではパドックを周回し終えると早々に退出していたのですが、今回はルメール騎手が乗った後でもパドックに残って周回できていたほどでした。

レースでもスタート後から折り合って前に壁を作るような理想的な展開で、レース後半から徐々に進出して、ラスト2Fは見事な瞬発力で一気に加速します。

最後は2着馬をクビ差抑えて優勝しました。

馬主様をはじめ関係者の皆さま優勝おめでとうございます。

本馬は、2022年のセレクションセールにて現在の馬主様にご購買いただきました。

セール上場に向けての当時の記事はこちらからご参照ください。

 

【1歳時のピューロマジック】

 

レース後のルメール騎手の話しを聞いても、レースでは気性面についても問題なかったとのこと。

昨年までは激しい気性で先頭に立ってレースを進めるのが当たり前でしたが、ここに至るまで厩舎のほうで前に馬を置く形での調教も随分と積まれていたようです。

今回のレース振りを見ている限り、その成果は明らかでした。

終わってみればコースタイレコードのタイムで優勝、上がり3Fの31.3に至っては歴代最速タイムとのことでした。

この一族は前進気勢が強く、血統的にはマイル以上持ちそうな配合でも、レースに行くと短距離適性の高いレース振りになってしまいます。

そのなかでピューロマジックが控える競馬を覚えて、しかも勝ち切ることができたのは、陣営にとって大きな収穫だったと思います。

改めて、オーナーのご理解と厩舎サイドのこれまでの努力に敬意を表したいと思います。

今後の予定は詳しく聞いておりませんが、控える競馬を覚えたことで、次走からはコーナーがあるコースでも対応できると思います。

暑い時期は調子が良さそうですが、一方でたくさん汗も掻いて馬体の維持も難しいはず。

まずは無事に過ごしてもらいながら、馬主様そしてファンの方々のために、これからも彼女らしい競馬をしてほしいと願っています。

 

 

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