ターファイトクラブ提供馬トキノステラの2023の残口が僅かに

本日、ターファイトクラブのスタッフさんから当場提供馬のトキノステラの2023(牝、父アジアエクスプレス)につきまして、残口が5口とのお知らせがありました。

 

 

本馬は、現在JRAでOPクラスのドンアミティエと同父で、母が全姉妹という関係です。

そのドンアミティエは、先週のOP室町S(ダ1200)で3着と好走してくれました。

調教師の先生からOPでもやれる馬と聞いていたので、苦手な暑い時期を過ぎて、これから本領を発揮してくれそうな気配です。

本馬はドンアミティエと血統構成は同じことから、おそらく彼と同じくダート短距離を得意とする馬に成長するはずです。

本馬への出資をご検討の方は、残り5口ということですので、どうかお早めにご判断くださいますようお願い申し上げます。

 

【ターファイトクラブ募集馬】メジェルダの2024(牝 父レイデオロ)

今年のターファイトクラブの当歳馬募集は、本日10月29日より開始となりました。

当場からはメジェルダの2024(牝、父レイデオロ)を提供させていただきました。

なお、本馬の牝系解説文(ブラックタイプ)はこちらからご参照ください。

 

 

【10月29日現在】馬体重273kg

 

馬産地におけるターファイト募集馬ツアーと懇親パーティー、そして先日の東京で開催された募集馬検討会を経て、本日10月29日より本馬を含めた当歳世代の募集が始まりました。

本馬は9月下旬に繁殖分場から1歳分場へ移動して、本格的に中期育成が始まっています。

明るい鹿毛とやや小柄な馬体、そして敏感な部分を持っている気性は、いかにもメジェルダ産駒らしいと言えます。

1歳分場に移動して新しい環境になったこともあり、始めのうちは集牧時でも1歳分場のスタッフから逃げるような面もありました。

しかしながら約1カ月経過して環境に慣れるとグンと大人びてきて、放牧時や集牧時はもちろん、馬房内でもクセなく扱える馬に成長しています。

メジェルダ産駒ということで、敏感な部分は消えることなく持っていますが賢い馬でもあり、しなければならないことを理解している様子です。

私自身があまり時間を取れないこともあって、上記の写真画像は最新ではなく2週間ほど前のものになります。

いま現在は、中期育成仕様の飼い葉を食べるなかでこの写真より丸みを帯びた馬体をしていて、より短距離向きの雰囲気が出ています。

当歳ということで、しばらくは脚長に見せる時期もあるでしょうが、馬体のつくりからすると兄姉同様に短距離~マイル向きの馬体になっていくと予想しています。

 

父レイデオロはダービーと天皇賞・秋を制した一流馬で、サンデーサイレンスの血を持たず、しかも牝系はディープインパクトと同じということで種牡馬入り当初から大きな注目を集めていました。

その彼の初年度産駒が3歳というなかで、まだ重賞勝ち馬がないという状況が、彼の種牡馬成績に物足りなさを感じさせているのでしょうか。

私が北海道での募集馬ツアーの日の夜に開催された懇親パーティーに参加した際、レイデオロの種牡馬成績に不安を抱いているクラブ会員さんが複数いたと記憶しています。

しかしながら、種牡馬ランキングで3歳と2歳世代のみで28位という成績は決して悪くありません。

レイデオロ自身の血統は父キングカメハメハ、母の父シンボリクリスエスそして2代母の父Seeking the Goldと、全体に北米血脈が強い血統パターンです。

血統面から彼の競走能力を少しでも遺伝させようとするならば、少なからず北米血脈を持つ繁殖牝馬との配合が望ましいでしょう。

さらに深くレイデオロの血統自体について言及すると、スピード血脈として後世に多大な影響を与えているMr.Prospectorの血が3×4でクロスされているのが特徴的です。

そこに母方からシンボリクリスエス、すなわちRoberto系の血を組み合わせているのが特徴的だと個人的には思っています。

Robertoの父Hail to Reasonと母Bramaleaは、それぞれMr.Prospectorの母Gold Diggerと相似クロスを形成できる関係にあります。

 

 

いずれの組み合わせも父系はNashua、もしくはNasrullah≒Royal Chargerという近い関係です。

また、母方にBull Dog(Sir Gallahad)とBlue Larkspurの組み合わせを持つ点でも共通しています。

このように、血統的にMr.Prospector系とRoberto系は相性の良い組み合わせです。

馬体のつくりによって芝馬に出ることもあれば、ダート路線で結果を残す馬もいるのがこの組み合わせの特徴です。

レイデオロ自身はMr.Prospector3×4を持ちますが、本馬はそのクロスを継続すべくSeeking the Gold4×5を経てMr.Prospector4*5×6のラインブリードを持ちます。

そのSeeking the Goldですが、母父がBuckpasserであることはレイデオロの血統を考察する上で重要だと思っています。

レイデオロはBuckpasser6×5を持っていて、このクロスからは力強さや底力を感じさせます。

Buckpasserの血は、レイデオロの血統においてはシンボリクリスエスの2代母Tri Argoと相似クロスを形成します。

 

 

父系はいずれもTom Foolに遡り、Buckpasserの母BusandaはTri Argo内のBlue Eyed Momoと同血の関係にあります。

 

 

こうして見ると、レイデオロの血統においてはMr.ProspectorとBuckpasserという2つの北米血脈がキーになっていて、そうなるとMr.Prospector×Buckpasser牝馬から生まれたSeeking the Goldの存在がレイデオロの血統では重要なのかも、と個人的に考えていました。

結果として、レイデオロの配合相手に当場のメジェルダを選んで本馬が誕生したわけですが、それはこの配合でSeeking the Gold4×5ができるのが理由の一つでした。

一方で、違う視点でレイデオロの血統に目を向けると、彼がディープインパクトと同じウインドインハーヘアの牝系出身であることがわかります。

ただ、レイデオロはこれまで述べてきたように全体的に北米血脈が強い血統をしています。

ウインドインハーヘアの血は欧州血脈で占められていますから、レイデオロの全体的な血統パターンからすると彼女の血は異系血脈と見なすこともできます。

すなわち、レイデオロとの配合を考える際には、このウインドインハーヘアの血を異系血脈として強調して血の活性化を図るか、あるいはレイデオロの北米血脈を活かす配合をするか、もしくはその両方を成り立たせる配合を試みるかだと考えます。

 

レイデオロの種牡馬成績を調べるなかで、収得賞金500万以上のレイデオロ産駒43頭の血統に注目したところ、以下のような血統傾向が見られました。

①母方にHalo(サンデーサイレンスを含む)の血を持つ産駒 31頭/43頭

②Mr.Prospectorクロスを持つ産駒 16頭/43頭

③Specialクロスを持つ産駒 10頭/43頭

④ウインドインハーヘアのクロスを持つ産駒 9頭/43頭

⑤母方にDanzigの血を持つ産駒 7頭/43頭

⑥母方にDeputy Miniserの血を持つ産駒 7頭/43頭

⑦母方にStorm Catの血を持つ産駒 5頭/43頭

 

①については、レイデオロ自身がサンデーサイレンスの血を持たないので、この血を持つ繁殖牝馬との配合が可能というのが最大の要因だと思われます。

本馬は、母父ディープインパクトを経てサンデーサイレンスの血を持つので該当します。

②のMr.Prospectorクロスについては、その重要性をすでに指摘しているのでここでは割愛します。

本馬はSeeking the Gold4×5を経てMr.Prospectorクロスを持つので②にも該当します。

③のSpecialクロスに関しては、レイデオロの持つNureyevと、産駒の母方にSadler’s WellsやFairy Kingなどの血がある場合にできるクロスです。

本馬はNureyev自身のクロス5×6を持っていて、正確には③には該当しないのですが、実際このNureyevクロス持ちの血統パターンも43頭中8頭存在します。

④のウインドインハーヘアのクロスに関しては既述しているので、ここでは割愛します。

本馬はこのクロスを持つので該当します。

⑤の母方にDanzigの血を持つ馬に関しては、本馬は該当しません。

そのなかでも、デインヒルの血を経てDanzigの血を持つレイデオロ産駒が多かったのが特徴的でした。

⑥の母方にDeputy Ministerの血を持つ馬に関しては、本馬は母方のフレンチデピュティを経てこの血を持つので該当します。

北米血脈のDeputy Ministerの血が、レイデオロの持つ北米血脈と好相性なのかもしれません。

⑦のStorm Catの血については、本馬は該当するものの、正直なところサンプル数としては少ないと感じています。

それでも、キングカメハメハ系はStorm Catの血と相性が良く、ロードカナロアがその好例です。

 

レイデオロ産駒の産駒傾向を調べた限りでは、本馬の血統パターンはレイデオロの活躍産駒に類似すると思われます。

ただ、クラブ会員の皆さまがご存じのように、メジェルダの産駒は気性的にも競走能力的にも母メジェルダの特徴を色濃く受け継ぎます。

本馬も普段は他馬と同じようなテンションで過ごしていますが、このきょうだいらしい敏感なスイッチは確かに持っています。

このような点を考慮すると、レイデオロの血をうまく受け継ぐ配合にはしたものの、メジェルダ産駒ということで父レイデオロほどの距離は持たないだろうと感じています。

おそらくマイル以下に適性のある産駒に成長すると考えるほうが妥当でしょう。

また、北米血脈が強い配合から生まれているだけに、半兄メディーヴァルやバグラダスがそうであるように、芝・ダートいずれにも適性を示す可能性があります。

実際、レイデオロ産駒の勝ち鞍のうち約1/4はダートによるものであり、少なからずレイデオロ産駒にはダート適性が備わっていると見なせます。

 

本日から始まった当歳馬募集ですが、この記事がクラブ会員の皆さまに出資検討の一助になると幸いです。

本馬は半姉に重賞勝ち馬ピューロマジックを持つ血統でありますし、当場としても大きな期待を持ちながら今後もしっかりと飼養管理に努めていきます。

 

当場生産馬のコシュデリ号が2歳未勝利戦を快勝!

10月27日、京都第2R(2歳未勝利、ダ1800)に当場生産馬のコシュデリ号が出走しました。

 

 

前走の新馬戦を不利も影響してか10着で終えたコシュデリは、初戦と同じく2戦目の今回も6番人気で迎えました。

スタートをうまく決まて、2番手あたりで追走しながら道中を進めていくコシュデリ。

3コーナーあたりから先頭集団が詰まってきながらも、終始手応え良く回って2番手のまま最終コーナーを回ります。

直線に入って鞍上のゴーサインに応えるように力強く抜け出したコシュデリは、最後まで脚力が鈍ることなく、最後は2着馬に5馬身差をつけて優勝しました。

馬主様をはじめ関係者の皆さま優勝おめでとうございます。

本馬は、2023年のセレクションセールで現在の馬主様にご購買いただきました。

当時のセールに向けた本馬の紹介記事は、以下のリンクからご参照ください。

【セレクションセール】№182キタサンテンビーの2022(牡 父ホッコータルマエ)

 

【1歳時のコシュデリ】

 

1歳時からホッコータルマエ産駒らしく体高があってムダ肉が付かない馬体をしていて、セレクションセールでも非常に高い評価をいただきました。

当時のセレクションセール会場では、バイヤーの方々のみならず、馬産地関係者の方々からも馬体を褒めていただいたことを思い出します。

成長とともに母父ダイワメジャーの力強さも身に付けてほしいと思っていましたが、今回のレースで見せた力強い走りからも期待通りの成長を見て取れます。

5馬身差を付けたことも評価したいですが、2歳未勝利としては時計も悪くないと思います。

3歳ダート路線が充実している現在においては、本馬のダート中距離適性は今後の昇級戦のみならず、先々のレースまで期待したくなります。

本馬の従兄であるノースブリッジは天皇賞・秋で思うようなレースができずに終わってしまいましたが、その分コシュデリが勝ってくれました。

モガミヒメの牝系からまた1頭、楽しみな馬が出てくれました。

 

【ローレルクラブ募集馬】アメージングムーンの2024(牝 父コントレイル)

2024年度の当歳馬募集が始まりましたが、当場からはアメージングムーンの2024を提供させていただくことになりました。

今回は当馬の紹介をさせていただきます。

なお、本馬の牝系解説文(ブラックタイプ)はこちらからご参照ください。

 

 

コントレイル産駒は本馬の世代が2世代目となりますが、初年度産駒にあたる現1歳世代から産駒の出来の評価が高く、セリでの取引価格もセレクトセールをはじめ非常に高い価格で落札されています。

当場でもスルターナの2023につづき、本馬が2頭目のコントレイル産駒誕生ということで、コントレイル産駒には高い関心を抱いてきました。

また、他場さんが生産されたコントレイル産駒たちもセールを通じて見てきたなかで、当歳の早い段階では少し硬めの動きをする産駒が多いイメージを持っています。

これはおそらくコントレイルの母父Unbridled’s Songの影響かと思いますが、誕生から時間の経過とともに芝馬らしい柔軟性とバネの効いた動きが目立ってくる傾向にあるとも感じています。

あまり緩くない感じで生まれてくるのならば、順調に成長すると早い段階、すなわち2歳戦から活躍できそうなイメージも湧くので、種牡馬としてのコントレイルという観点からはむしろ良い傾向かもしれません。

本馬は当場で力を入れているモガミヒメ牝系出身ということで、この牝系らしい緩さを備えた感じて誕生しています。

ただ、例えば現2歳の半姉アメージングハナビなどと比較すると、より筋肉質で少しゴツめの馬体で生まれてきたのも事実で、そういうところもコントレイル産駒らしいです。

本馬も完成は古馬になってからだと思っていますが、コントレイル産駒らしさもあることから、2歳戦から動ける可能性はあると思っています。

1月生まれということもあり、大富繁殖分場のなかでは最も早く離乳を終えていて、8月中旬には中期育成部門の1歳分場へ移動しました。

離乳して1歳分場へ移動した直後は、他の当歳馬と同じく繊細で1歳分場のスタッフにも慣れていない状況がありました。

ただ、1カ月以上経過した現在は人を含めた1歳分場の環境にもすっかり慣れて、現状は当歳世代のなかでも大人びた一頭だと言えます。

すでに何組もクラブ会員さんによる見学を経験していますし、この1週間のなかでも複数組の見学を予定しています。

そういう経験も含めて、他馬よりも精神的に大人びてきたのかもしれません。

脚元を含めた馬体や気性面など、現時点では大きな課題は見当たらないので、このまま順調に成長できるように当場でも全力でサポートしていきます。

 

コントレイルの血統は、ディープインパクト×Storm Catの血を持つ母、という配合なので血統的にはキズナに共通している部分があります。

その意味では、本馬の血統とキズナ産駒の半姉ルヴニールは血統的特徴が似ていると言えるでしょう。

 

 

ルヴニールは新馬戦こそ2着してくれたものの、その後のレースにおける馬体重を見てもわかるように、残念ながら馬体的な成長があまり見られずに引退に至っています。

この点に関しては、当場としても責任を痛感しております。

なんとかその妹のアメージングハナビ、そして本馬でルヴニールの分まで活躍してほしいと願っています。

馬体重あるいは馬格という点では、本馬はアメージングハナビほどの雄大な馬格ではありませんが、ルヴニールよりは大きな馬体です。

コントレイル自身が少し小柄な馬体であるために、産駒も小柄に出やすいと思われるかもしれませんが、少なくとも当場が生産したスルターナの2023と本馬に関しては標準以上の馬格があります。

血統面で言うと、コントレイルやキズナはStorm Catの血を持つ種牡馬ですが、本馬が属するモガミヒメ牝系にはこの「Storm Catの血を持つ」という特徴を備えた種牡馬を頻繁に配合してきました。

この牝祖にあたるモガミポイントが、Storm Catと相似な血のクロスを形成する関係にあるからです。

 

 

父系同士がStorm Bird≒Njinskyの相似クロスを形成し、それぞれの母父がSecretariat≒ボールドラッドによる3/4同血クロスをつくる関係にあります。

この組み合わせを活かして、国内外の重賞勝ち馬ディープボンドをはじめとした活躍馬が出てくれています。

モガミポイントの母父であるボールドラッドに関しては、コントレイルの血統に含まれるLucky Spell(Unbridled’s Songの2代母)とも相似クロスを形成すると考えます。

 

 

それぞれの母がPrincequillo×Mahmoud系の組み合わせであり、Royal Charger≒Nasrullahによる3/4同血クロスも形成する関係です。

Lucky Spellの孫であるUnbridled’s Song、そしてボールドラッドのいずれもが2歳戦で素晴らしい競走成績を挙げたこと、また父コントレイルと母アメージングムーンも現役時に2歳戦で成績を挙げたことを考慮すると、本馬にはある程度の早熟性が備わっているかもしれません。

この牝系らしく完成は古馬になってからだと考えていますが、血統面からは2歳戦から活躍できても不思議ないと思っています。

 

本馬に関しては、当場としては珍しく1000口募集とさせていただきました。

重賞3勝のノースブリッジの半妹であること、また多くのクラブ会員の皆さまがご注目されているであろうコントレイル産駒という点も考慮しながら、多くの方々に出資していただきやすい設定にしたつもりです。

実際、すでに多くのクラブ会員の方々に興味を持っていただくなかで、本馬の見学にも来てくださっていますし今後も見学予定が複数入っています。

クラブ会員の皆さまにご見学いただきながら、あるいはネットなどで情報共有していただきながら、本馬へのご出資をご検討くださると幸いです。

なお、当場においては早ければ10月末、遅くとも毎年11月末には全当歳馬の測尺を始めることにしています。

11月頃のクラブ募集馬の情報更新の際には、測尺も含めた本馬の情報提供ができる予定です。

全当歳馬を環境に慣れさせる意味でも少し時間をいただく形にはなりますが、あらかじめご了承ください。

 

【セプテンバーセール】№477ハーランズルビーの2023(牝 父シルバーステート)

セプテンバーセールまで数日ですが、今回はセール3日目(9月19日)に上場予定の当場生産馬ハーランズルビーの2023(牝、父シルバーステート)を紹介させていただきます。

なお、本馬の牝系解説文(ブラックタイプ)はこちらからご参照ください。

 

 

【9月9日現在】体高151cm 174cm 管囲19.2cm 馬体重443kg

 

本馬はG2日経新春杯勝ち馬モズベッロの半妹で父シルバーステートということもあり、血統的にはセレクションセールに合格できるレベルの馬でしたが、4月中旬生まれで成長を待ちたかったこともあって9月セールへの上場となりました。

体高がそれほどないのであまり大きく見せませんが、ここにきて胴伸びが出てくるなど、さらに馬体が成長してきそうな雰囲気があります。

そのなかでも馬体重は440kg以上あるので、競走馬としてデビューする頃には立派な馬体で臨めそうです。

本馬の血統は、半兄で重賞勝ち馬のモズベッロがディープインパクト系種牡馬のディープブリランテ産駒だったこともあり、同じディープインパクト産駒のシルバーステートと配合して本馬が生まれたという経緯があります。

シルバーステートの牝馬らしい、少し小柄ながらも柔らか味があり、立派なトモからは瞬発力を感じさせる馬体の持ち主です。

 

そのシルバーステートですが、初年度産駒は現5歳世代となります。

2歳世代まで合わせると、4世代がデビューしていることになります。

そのシルバーステート産駒について、獲得賞金上位50頭の血統傾向を調べたところ、以下のような血統的特徴が見受けられました。

 

①母方にHail to Reasonの血を持つ産駒 39頭/50頭

②母方にMr.Prospectorの血を持つ産駒 35頭/50頭

③母方にNasrullah/Princequilloに代表されるようなNearco/Prince Roseのニックから成る血を持つ産駒 35頭/50頭

④母方にBuckpasserの血を持つ産駒 31頭/50頭

⑤Haloクロス(サンデーサイレンスのクロスを含む)を持つ産駒 25頭/50頭

⑥母方にSpecialの血を持つ産駒 21頭/50頭

⑦Nijinskyクロスを持つ産駒 20頭/50頭

 

①のHail to Reasonの血については、すでに父シルバーステートがHail to Reason4×4を持つので、この血統傾向を産駒の代でも受け継ぐ配合になります。

また、⑤で指摘したHaloはHail to Reason産駒であり、現代で繁栄しているサンデーサイレンスもこの血を引くため、シルバーステートの多くの産駒にこの特徴が見られます。

ただ、①の39頭に対して⑤が25頭ということは、残り14頭はHailoを介さない形で母方にHail to Reasonを持つシルバーステートの活躍産駒となります。

その意味では、Haloを介さずとも、シルバーステート産駒にとっては母方にHail to Reasonの血が入っているほうが好ましいと言えるかもしれません。

本馬は、母ハーランズルビーがHalo4×3を持つので①に該当します。

 

②のMr.Prospectorの血を母方に持つ産駒というのは、①のHail to Reasonの血とも関係があると考えます。

なぜなら、Mr.Prospectorの母Gold DiggerはHail to Reasonと相似クロスを形成できる関係にあるからです。

 

 

それぞれの父系がRoyal Charger≒Nasrullahの相似クロスの関係にあり、母方にBlue LarkspurやSir Gallahad=Bull Dogを持つ点で共通します。

シルバーステートがHail to Reason4×4を持つ種牡馬であることを考慮すると、Mr.Prospectorの血を持つ繁殖牝馬と配合することは血統面では理にかなっているように感じます。

本馬は、母方にGone Westを通じてMr.Prospectorの血を持つので②にも該当します。

 

③のNearco/Prince Roseのニックから成る血というのは、例えばSecretariatやMill Reef、Seattle SlewやSir Gaylordなどが該当します。

その上で、シルバーステート産駒の母方に限ってもう少し詳しく調べてみると、そこにNorthern Dancerの血を組み合わせた血脈の存在が見えてきます。

Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックから成る血、すなわちダンシングブレーヴやStorm Cat、Caerleon、フレンチデピュティ、El Prado、エリシオといった血脈が母方に入っていると、シルバーステート産駒は活躍傾向にあるということです。

③では50頭中35頭が該当するとしましたが、この「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックから成る血」まで条件を限定しても、50頭中31頭が該当する血統パターンです。

本馬は母方にSecretariatをクロスで持つなど③にも該当しますし、さらに母方にはStorm Catの血も持つので、これもまたシルバーステート産駒の成功パターンに属すると言えます。

 

①~③の傾向はどちらかと言えば素軽さやスピード、あるいは柔軟性をもたらすような血脈でしたが、④のBuckpasserに関しては重厚さやスタミナの強化をもたらす血脈だと考えます。

シルバーステートの血統にはBuckpasserの血は含まれていないので、一見するとそれほど相性は良くない血に見えるかもしれません。

しかしながら、Buckpasserの血はシルバーステートの母方にあるFlaming Page(Nijinskyの母)と相似クロスを形成するほど血統的親和性が高い関係です。

また、Buckpasserの母Busandaは、シルバーステートが2本持つHail to Reasonの母Northirdchanceとも相似クロスを形成します。

 

 

Hail to Reasonの血はシルバーステートの血統にとって重要だと考えますし、それと相似クロスを形成できるBusandaの血を引くBuckapsserも相性が良い相手なのでしょう。

また、Nijinskyの血も重厚さを伝える血脈なので、その母Flaming PageとBuckpasserを組み合わせることで、シルバーステート産駒に底力を伝える可能性があると考えています。

ちなみに、これは⑦のNijinskyクロスにも関係することですが、ここに登場するFlaming PageとNothirdchance、Busandaの3者はFlaming Page≒Nothirdchance≒Busandaという強力なトライアングルの相似クロスを形成できる関係です。

言い換えると、Buckpasserの血を持つ繁殖牝馬にシルバーステートを配合すると、このFlaming Page≒Nothirdchance≒Busandaを持つ産駒が生まれることになります。

本馬はBuckpasserの血を持たないので④には該当しません。

 

⑤のHaloの血については、①の説明でも言及したのでここでは割愛します。

 

⑥のSpecialの血というのは、Specialの息子であるNureyevや、彼女の孫にあたるSadler’s Wellsやジェイドロバリーの血などがあると該当します。

これは、シルバーステートの母方にRidanの血が入っていることが関係しているかもしれません。

Ridanは、Specialの母Thongの全兄にあたる血統だからです。

本馬はSpecialの血を持たないので⑥には該当しません。

 

⑦のNijinskyクロスについては④の説明で言及したので、ここでは割愛します。

ちなみに、本馬はNijinskyクロスを持たないので⑦には該当しませんが、母方にThe Minstrelを持つので、Nijinsky≒The Minstrelの3/4同血クロスを形成します。

 

以上、シルバーステートの活躍産駒の血統傾向と、本馬の血統パターンを見比べてみました。

全体として、本馬の血統はシルバーステート産駒の活躍傾向を踏襲していると考えます。

 

本馬の緩さを残す馬体は、半きょうだいのモズベッロやエレガントルビー、また2歳の半兄マテンロウアトラスにも見られた特徴なので、母由来と感じさせるものがあります。

完成は古馬になってからだと推察しますが、素軽い面があるので2歳戦から仕上がっていく可能性はあると思っています。

非常に良い歩様をする馬なので、セール当日には№396アヴォンリーの2023のみならず、本馬にも是非ご注目ください。

 

本馬に関してお問い合わせがございましたら牧場公式サイトからご連絡いただくか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入くださるようお願いいたします。

当場から折り返し連絡させていただきます。