【ターファイトクラブ募集馬】ルイヴィルファーストの2024(牝 父Gun Runner)

すでに数日経過していますが、ターファイトクラブの1歳追加募集馬の募集が始まっています。

当場からは、今回ルイヴィルファーストの2024(牝、父Gun Runner)を提供させていただくことにしました。

 

 

【8月5日現在】体高162cm 胸囲181cm 管囲20.9cm 馬体重497kg

 

本馬の母ルイヴィルファーストは、当場が米国キーンランド繁殖馬セールで購買した馬です。

Gun Runnerの仔を受胎している繁殖牝馬を欲していたわけではありませんでしたが、自身が少なくともステークス勝ちを収めている馬が望ましいと考えていました。

その上で馬体のつくりや歩様が良く、気性面でも問題ない馬をピックアップするなかで、購買候補に残ったのが彼女でした。

結果として、米国トップタイの種付料を誇るGun Runnerの仔を受胎した繁殖牝馬を購買できたことは幸運でした。

 

そのGun Runnerは、米国にて3歳時にG1を1つ勝ったのち、4歳になってからは9F~10FのG1を4連勝していて、競走成績だけ見ると完成は古馬になってからという中距離タイプの馬でした。

ただ、種牡馬入りしてからはさらに素晴らしく、初年度産駒からEcho Zulu(G1BCジュベナイルフィリーズなど2歳G1を3勝を含む米G1を4勝)、Taiba(3歳時に米G1を3勝)、Gunite(米2歳G1を含むG1を2勝)、Cyber Knife(3歳時に米G1を2勝)、Society(米牝馬G1を2勝)、Early Voting(米3歳G1プリークネスS勝ち)と計6頭ものG1勝ち馬を輩出しています。

Gun Runner自身の競走成績は古馬になってから大成しましたが、産駒は2歳戦のG1から好走する馬も出ていることから、種牡馬としての評価を一気に上げる形になりました。

 

一方、本馬の母ルイヴィルファーストは米国にて16戦3勝、芝7Fのステークス勝ちがあります。

3勝のうち未勝利勝ちはダートで、他の2勝は芝によるものです。

ただ、繁殖牝馬になると、これまで米国に残してきた産駒はほぼすべてダート勝ち馬になります。

初仔のUnder the Gun(父Gun Runner)…米3勝、うちオールウェザー6.5Fで1勝、ダート7Fで2勝

2番仔のHallow Point(父Gun Runner)…米2勝、ダート5.5Fとダート7Fで勝ち鞍あり

3番仔のCopper Bound(父Copper Bullet)…米3勝、うちダート6.5Fで2勝、ダート8.5Fで1勝

4番仔のTapit First(父Tapit)…米1勝、ダート4.5Fで勝ち鞍あり

そして、本馬は5番仔になります。

彼女の父、そして本馬の母父にあたるGirolamoは、米G1ヴォスバーグS(ダート6F)を勝っています。

それほど馴染みのある名前ではないかもしれませんが、血統的には米国のなかでも超良血の部類に入る血統背景をしています。

 

 

名牝Numbered Accountに遡る牝系で、Girolamo自身はBuckpasser4×4やGlamour5×5の牝馬クロスなど、名牝系出身だけではない優れた血統パターンをしています。

また、A.P.Indy系×Mr.Prospector系牝馬という組み合わせは、名種牡馬Tapitや、日本ではフォーエバーヤングやダノンデサイルの母父Congratsとも同じ配合です。

特に、CongratsとGirolamoは2代母の父がNorthern Dancerである点まで同じで、かなり似通った血統背景をしています。

 

 

このような血の質が高い血統は、母方に入ると後世に好影響を与える傾向にあり、実際にGirolamoの娘ルイヴィルファーストも米国に残してきた産駒が全頭勝ち上がっています。

さらに言えば、Gun Runner産駒という視点から見ても、GirolamoのようなA.P.Indy×Mr.Prospector牝馬という組み合わせの血脈が入ると活躍傾向にあります。

具体的には、米G1を3勝していてフォーエバーヤングのライバルの一頭と目されるSierra Leone、米G1を3勝しているTaiba、米G1を2勝しているLockedといったGun Runner産駒はすべて同じ血統傾向を持ちます。

実際に、ルイヴィルファーストの2024と各馬の血統を血統表で比較してみましょう。

 

 

米牝馬G1を2勝のSocietyも母父がTapitなので、5代表の比較では分かりづらいのでここには掲載しませんが、本馬の血統と相似性が高い関係です。

このように、A.P.Indy系×Mr.Prospector系の組み合わせを持つ血脈が母父に入るGun Runner産駒は活躍傾向にあります。

本馬もまさにこの血統パターンなので、高い素質は秘めていると感じています。

 

ルイヴィルファーストの産駒を当場ではじめて育てること、またGun Runner産駒も当場にとって初めて産ませたことから、どのような成長曲線を描くかわからないこともあって1歳時まで成長を見守ってきました。

かなり早い段階からクラブ提供を視野に入れていましたが、あくまでしっかりと成長してくれることが大前提でした。

結果として、こちらが期待した以上に立派な馬になってくれました。

米国血脈らしい繋が立ち気味の馬体で、牝馬ながら四肢の筋肉が発達していて、特にトモの筋肉量は牡馬に匹敵するくらいです。

おそらくダートの短めのレースが主戦場になるかと思いますが、ダート馬でも構わないと思われる会員の皆さまには、是非出資をご検討くださると幸いです。

なお、本馬は数日以内に育成場に移動予定となっております。

今後の本馬の近況については、ターファイトクラブさんからの情報をご参考くださいますようお願いいたします。

 

 

当場生産馬のピューロマジック号がG3アイビスサマーダッシュを快勝!

8月3日、新潟第7RのG3アイビスサマーダッシュに当場生産馬のピューロマジック号が出走しました。

 

 

私は8月2日に東京で開催されたターファイトクラブの募集馬検討会に出席して、翌日に新幹線で新潟に移動して本馬を現地応援してきました。

北海道も暑い日が続いていますが、東京や新潟の暑さはそれ以上で参りました(苦笑)

ピューロマジック自身は重賞2勝の実績や、ドバイG1アルクォーツスプリントでの好走も影響してか、2番人気に支持されていました。

もしかすると、全兄メディーヴァルが同舞台の韋駄天Sを勝っていることも加味されたかもしれません。

そのピューロマジックは、レース前から控える競馬をさせると聞かされていましたし、それを受けてのルメール騎手指名だった模様。

パドックでは他馬に比べてテンションが高そうに見えたものの、あとで厩舎関係者の方と話したら、以前ほどの感じではなくなっているとのことでした。

実際、いままではパドックを周回し終えると早々に退出していたのですが、今回はルメール騎手が乗った後でもパドックに残って周回できていたほどでした。

レースでもスタート後から折り合って前に壁を作るような理想的な展開で、レース後半から徐々に進出して、ラスト2Fは見事な瞬発力で一気に加速します。

最後は2着馬をクビ差抑えて優勝しました。

馬主様をはじめ関係者の皆さま優勝おめでとうございます。

本馬は、2022年のセレクションセールにて現在の馬主様にご購買いただきました。

セール上場に向けての当時の記事はこちらからご参照ください。

 

【1歳時のピューロマジック】

 

レース後のルメール騎手の話しを聞いても、レースでは気性面についても問題なかったとのこと。

昨年までは激しい気性で先頭に立ってレースを進めるのが当たり前でしたが、ここに至るまで厩舎のほうで前に馬を置く形での調教も随分と積まれていたようです。

今回のレース振りを見ている限り、その成果は明らかでした。

終わってみればコースタイレコードのタイムで優勝、上がり3Fの31.3に至っては歴代最速タイムとのことでした。

この一族は前進気勢が強く、血統的にはマイル以上持ちそうな配合でも、レースに行くと短距離適性の高いレース振りになってしまいます。

そのなかでピューロマジックが控える競馬を覚えて、しかも勝ち切ることができたのは、陣営にとって大きな収穫だったと思います。

改めて、オーナーのご理解と厩舎サイドのこれまでの努力に敬意を表したいと思います。

今後の予定は詳しく聞いておりませんが、控える競馬を覚えたことで、次走からはコーナーがあるコースでも対応できると思います。

暑い時期は調子が良さそうですが、一方でたくさん汗も掻いて馬体の維持も難しいはず。

まずは無事に過ごしてもらいながら、馬主様そしてファンの方々のために、これからも彼女らしい競馬をしてほしいと願っています。

 

 

【2025セレクションセール】上場馬5頭をご購買いただきました

7月20~23日にかけて、HBA北海道市場にてセレクションセールが開催されました。

当場生産馬からはプレミアムセッションに2頭、セレクションセール2日目に3頭の計5頭を上場して、全頭落札していただきました。

№5ハーランズルビーの2024は井山登さまにご購買いただきました。

№26ファーストチェアの2024は宮本育也さまにご購買いただきました。

№200トキノステラの2024は安田一彦さまにご購買いただきました。

№247アヴォンリーの2024は小紫嘉之さまにご購買いただきました。

№371エイシンキルデアの2024は猪熊広次さまにご購買いただきました。

ご購買いただきました馬主様ならびに関係者の皆さま、誠にありがとうございました。

ここ数年、セレクションセールの開催スタイルがその都度変わっていて、上場側の人間である私にとっても何が正解なのか見いだせていません。

今回のセールだけ見れば、プレミアムセッションこそ成功に終わった感がある一方、2日目の盛り上がりはそれほどでもなかったように感じました。

中1日明けて2日目のセリを行うスタイルが良くない、あるいはプレミアムセッションそのものが必要ないのでは、という意見も周囲からは聞こえています。

全体を通してなかなか厳しいセリだったなと感じながらも、当場からの上場馬全頭を落札していただいたのは本当にありがたいことでした。

特に、№371エイシンキルデアの2024に関しては、セレクションセール上場馬のなかでも最後から2番目の上場ということで、かなり厳しいセリになると覚悟していました。

ただ、実際のセリでは、何組ものバイヤーの方々がその時間帯まで残って本馬のせりに参加してくださっていました。

結果として、セレクションセール2日目のなかでも3番目の高額取引馬となったことは大変誇らしく感じています。

改めまして、このたびは当セールで当場生産馬をご購買いただき誠にありがとうございました。

 

 

【セレクションセール】№371エイシンキルデアの2024(牡 父オルフェーヴル)

今年のセレクションセールには当場生産馬が5頭合格していますが、最後に紹介させていただくのは№371エイシンキルデアの2024です。

本馬の牝系解説文(ブラックタイプ)はこちらからご参照ください。

 

 

上記の360℃画像は、クリックもしくはタップしながら横にスライドすると回転していきます。

 

【7月7日現在】体高155m 胸囲173cm 管囲20.3cm 馬体重445kg

 

本馬はセール2カ月前から当場の1歳分場にてセリ馴致を施しています。

当場の方針として、当場内でセリ馴致する際はセールに上場することだけを目的とせず、将来の競走馬という意味でもしっかりと基礎体力を付けて送り出したい思いから昼夜放牧も同時に実施しています。

G2日経新春杯勝ちのモズベッロ(2017年セレクションセール取引馬)、国内外の重賞を4勝したディープボンド(2018年セレクションセール取引馬)、G3エルムS勝ち馬フルデプスリーダー(2018年セレクションセール取引馬)、昨年のG2札幌記念のほかG2AJCCとG3エプソムCの勝ち馬ノースブリッジ(2019年セレクションセール取引馬)、そして昨年のG3葵SとG3北九州記念の勝ち馬ピューロマジック(2022年セレクションセール取引馬)。

彼らはすべて当場生産によるセレクションセール上場馬ですが、当場内で昼夜放牧をしながらセリ馴致をしてセール上場した馬たちです。

正直なところ、昼夜放牧をしながらセリ馴致をすると疲労が溜まりやすいのですが、そのあたりは獣医に相談するなどして適切なケアをしてもらって対応しています。

これまで同様、セール当日に向けて細心の注意を払いながらセリ馴致を進めていきます。

 

本馬の母エイシンキルデアは、国内の繁殖馬セールで購買した馬です。

本馬のきょうだいのなかで、当場が配合段階から携わった産駒はインテグレイト(牡4歳、父キタサンブラック、現JRA2勝)が最初の当場生産馬になります。

エイシンキルデアの産駒はこのインテグレイト、現3歳のマイキー(牡、父ヘニーヒューズ、現南関東2勝)、現2歳の半兄(父インディチャンプ)そして本馬と、すべてセレクションセールに合格しています。

バランスの取れた好馬体がこのきょうだいの特徴で、それは本馬にも言えると思います。

本馬は5月生まれながらすでに体高は155cmあり、まだまだ成長段階にあります。

誕生時も63kgで生まれていて、一部の小柄なオルフェーヴル産駒とは異なる成長曲線を描いています。

オルフェーヴル産駒に関しては、気性面を懸念される方もいらっしゃいますが、本馬に関しては当場の1歳牡馬のなかでも普段から扱いやすいと言えます。

また、セリ馴致を始めてからもウォーキングマシンや馬運車に対して比較的早く順応してくれたので、賢さも備えていると思います。

もちろん、当場を巣立って後期育成に入ればピリッとした面が出てくるでしょうが、牡馬ならばそのくらいが望ましいでしょう。

そのオルフェーヴル産駒について、獲得賞金上位50頭の産駒の血統傾向を調べてみると以下のような特徴が見られました。

 

①母方にNasrullah/Princequilloに代表されるようなNearco/Prince Roseのニックから成る血を持つ産駒 34頭/50頭

②母方にMr.Prospectorの血を持つ産駒 30頭/50頭

③母方にSpecial(Nureyevの母、Sadler’s Wellsやジェイドロバリーの2代母)の血を持つ産駒 21頭/50頭

④Halo(もしくはその息子サンデーサイレンス)のクロスを持つ産駒 19頭/50頭

⑤母方にBuckpasserの血を持つ産駒 16頭/50頭

⑥母方にGraustarkもしくはその全弟His Majestyの血を持つ産駒 10頭/50頭

 

①のNearco/Prince Roseのニックから成る血というのは例えばSecretariat、Seattle Slew、Sir Gaylord、Riverman、Mill Reefのような血脈が該当します。

本馬の母エイシンキルデアは、Sir GaylordやRose Bowerの血を持つので①に該当します。

この傾向を豊富に持つ血統は質が高く、柔軟性に優れている印象があります。

②の母方にMr.Prospectorの血を持つ産駒というのは、オルフェーヴルの代表産駒ラッキーライラック(母父がMr.Prospector系のFlower Alley)やG1ドバイワールドC勝ち馬ウシュバテソーロ(母父がMr.Prospector系のキングカメハメハ)に見られる血統傾向です。

オルフェーヴルの血統はステイゴールド×メジロマックイーン牝馬の組み合わせなので、血統的イメージからは中長距離向きの印象を受けます。

日本競馬にフィットするには、北米血脈のなかでもスピード血脈として知られているMr.Prospectorの血を入れるのは理に適っているようにも思えます。

本馬の母方にはMiswakiを通じてMr.Prospectorの血を持つので②にも該当します。

③の母方にSpecialの血を持つ産駒に関しては、ある程度血統や配合を勉強している方々にとって、オルフェーヴルにSpecialの血を持つ繁殖牝馬との配合は良さそうと予想できたかなと思います。

すなわち、オルフェーヴルの3代母の父Lt.Stevensが、Specialの母Thongの全兄にあたる関係だからです。

さらに言えば、エレクトロアート≒Specialという相似クロスを形成できるほどの関係も見えてきます。

 

 

Lt.Stevens=Thongの全きょうだいのほかに、エレクトロアートの父ノーザンテーストはLady Angela3×2を通じてHyperion4×3を持ちます。

また、Specialの父ForliはHyperionの孫にあたる血統であり、エレクトロアート≒Specialと見なせるほどの関係です。

本馬の母方にはKitten’s Joyの血を通じてSpecialを持つので③にも該当します。

④のHaloもしくはサンデーサイレンスのクロスについては本馬は該当しません。

ただ、本馬の母方にはHaloと相似クロスを形成するSir Ivorの血が入っていて、このあたりは意識した配合になっています。

⑤の母方にBuckpasserの血を持つ産駒については、本馬の母エイシンキルデアがBuckpasser5×4*5を持つので本馬は⑤に該当します。

⑥のGraustarkやHis Majestyの血に関しては、本馬の母方にはないので⑥には該当しません。

 

このように、本馬の母エイシンキルデアの血統はオルフェーヴルに合うはずだとの思いから、本馬の配合そして誕生に至っています。

エイシンキルデア自身の体高があるので、小柄な馬体に出る可能性のあるオルフェーヴル産駒の傾向を補完する意味でもちょうど良い繁殖牝馬でした。

改めて本馬の馬体を見てみると、オルフェーヴル産駒らしい芝・ダート問わない馬体をしていると思います。

特にオルフェーヴルの影響を感じている点は、本馬の体質です。

昼夜放牧をしながらセリ馴致を施していると関節などの疲れや痛みから、獣医に診察してもらう1歳馬がほとんどのなかで、本馬はその頑強さからそのような治療を一度も受けずにここまできました。

5月生まれでもセレクションセールで十分に勝負できる、と思わせてくれるほどの成長を遂げてくれた本馬。

セレクションセール2日目の上場に向けて、最後まで気を抜かずに飼養管理に努めていきます。

 

本馬に関してお問い合わせがございましたら、牧場公式サイトからご連絡いただくか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入くださるようお願いいたします。

当場から折り返し連絡させていただきます。

 

 

【セレクションセール】№247アヴォンリーの2024(牝 父エスポワールシチー)

今年のセレクションセールには当場生産馬が5頭合格していますが、今回はセレクションセール2日目に上場予定の№247アヴォンリーの2024を紹介させていただきます。

本馬の牝系解説文(ブラックタイプ)はこちらからご参照ください。

 

 

上記の360℃画像は、クリックもしくはタップしながら横にスライドすると回転していきます。

 

【7月7日現在】体高155m 胸囲178cm 管囲20.0cm 馬体重455kg

 

本馬の母アヴォンリーはJRAのダートで3勝した馬で、ダート1200という短めの距離を得意としていました。

アヴォンリーのきょうだいはもう少し距離があった方がよいタイプが多いので、アヴォンリーの短距離スピードは彼女の父ヘニーヒューズに由来するものと見て間違いないでしょう。

実際、アヴォンリーはヘニーヒューズの牝馬らしく、普段から気の強さを前面に出すタイプの馬です。

ただし、馬格のほうは彼女の母ラヴァーズレーンの産駒らしく、牝馬ながら現役時代は480kg前後で競馬できたほどの恵まれた馬体をしています。

本馬も1歳牝馬としては十分な馬格を備えていて、このあたりは馬格のある父母から生まれた点が大きいでしょう。

現在は、地元の育成公社さんにセリ馴致のために預かってもらっています。

 

本馬の父エスポワールシチーは、ダート系名種牡馬ゴールドアリュールの後継種牡馬として実績のある種牡馬です。

特に交流重賞で活躍している印象が強く、その最たる例は交流G1JBCスプリント勝ち馬イグナイターでしょう。

そのエスポワールシチー産駒について、獲得賞金上位50頭の産駒の血統傾向を調べてみると以下のような特徴が見られました。

 

①母方にMr.Prospectorの血を持つ産駒 38頭/50頭

②母方にNasrullah/Princequilloに代表されるようなNearco/Prince Roseのニックから成る血を持つ産駒 26頭/50頭

③母方にBuckpasserの血を持つ産駒 21頭/50頭

④Nureyevクロス、あるいはNureyev≒Sadler’ s Wells(Fairy King)の相似クロスを持つ産駒 17頭/50頭

⑤Haloまたはサンデーサイレンスのクロスを持つ産駒 15頭/50頭

⑥Nijinskyクロスを持つ産駒 15頭/50頭

⑦Danzigクロスを持つ産駒 15頭/50頭

 

①の母方にMr.Prospectorの血を持つ産駒が活躍傾向にあるというのは、父エスポワールシチーがHail to Reason4×4を持っていることに関係しているように思います。

Hail to Reasonの血は、Mr.Prospectorの母Gold Diggerと相似クロスを形成する関係だからです。

 

 

両者の父系はRoyal Charger≒Nasrullahの関係があり、そのほかにもBlue LarkspurやSir Gallahad=Bull Dogの血を持つ点で共通しています。

父エスポワールシチーが現役時にダート1600前後を得意としていたことを考慮すると、このHail to ReasonとMr.Prospectorという北米のスピード血脈を活かす配合は、父の競走能力を受け継がせるには理に適っていると考えます。

本馬は母方にMr.Prospectorの血を持たないので①には該当しないのですが、母方にあるAlydarの母Sweet ToothもまたHail to Reasonと相似クロスを形成する関係なので、この項目に近い配合だと言えます。

②のNearco/Prince Roseのニックから成る血というのは例えばSecretariat、Seattle Slew、Sir Gaylord、Riverman、Mill Reefのような血脈が該当します。

本馬は母方にSecretariatやボールドラッドの血を持つので②に該当します。

③については、本馬は母方にマルゼンスキーを通じてBuckpasserの血を持つので該当します。

この③については、①と連動して母方にMr.Prospector×Buckpasser牝馬から成る血(Seeking the GoldやWoodman、マイニングなど)を持つエスポワールシチー産駒が活躍傾向にありました。

この①と③の傾向を見る限り、母方に北米血脈が多いほうがエスポワールシチー産駒は活躍する傾向にあるのかなと感じます。

本馬は母父ヘニーヒューズなので、母方に比較的多くの北米血脈を内包しています。

ただ、その一方で④のNureyevクロスやNureyev≒Sadler’ s Wells(Fairy King)の相似クロスは欧州血脈と言えるものです。

エスポワールシチーがゴールドアリュール系種牡馬と考えた場合、ゴールドアリュール産駒のなかにはクリソベリルのように④の血統的特徴を強く持つ活躍馬もいます。

この父系の種牡馬に配合する場合、④のような特徴を活かす配合は有効なのかもしれません。

ただ、本馬は④には該当しません。

⑤のHaloまたはサンデーサイレンスのクロスを持つ産駒については、現代の多くの繁殖牝馬がサンデーサイレンスの血を持つので、このような血統的特徴を持つ馬は自然と多くなります。

ただ、その割りにはエスポワールシチーの活躍産駒のなかで大きなウェイトを占めてないように感じます。

エスポワールシチー産駒においては、必ずしもこの系統のクロスを必要としないのかもしれません。

本馬は⑤には該当しません。

⑥のNijinskyクロスを持つ産駒については、個人的な見解として、このクロスを持つ馬には胴回りがしっかりした産駒が多い印象を受けます。

エスポワールシチー自身は、ダート系種牡馬の割りには馬体に素軽さがあるので、ダート系のパワーを加えようとするならばこのNijinskyクロスは有効なのかもしれません。

本馬は⑥に該当します。

⑦のDanzigの血については、エスポワールシチー産駒のようにダートでスピードを発揮するタイプにとって、立派なトモをもたらずDanzigの血とは相性が良いのでしょう。

本馬の母方にはDanzigの血がないので⑦には該当しません。

 

こうして見ると、本馬の血統は7項目中4項目のみ該当ということになります。

一方、母アヴォンリーの血統はトキノステラの2024の記事でも触れたように、Storm Cat系×モガミヒメ牝系の血統パターンを持ちます。

この配合から重賞4勝のディープボンドや現役OP馬のドンアミティエが出るなど、当場で何度も試みてきた配合であり、彼女もまたこの配合から生まれています。

実際、アヴォンリー自身もJRAで3勝クラスまで行った馬で、現役時は優秀な競走能力を発揮してくれました。

Storm Cat系×モガミヒメ牝系の配合で最大のポイントは、Storm Cat≒モガミポイント(モガミヒメの母)の相似クロスができる点です。

 

 

この両者は、Storm Bird≒NijinskyやSecretariat≒ボールドラッドでリンクしていて血統的な類似性が高い関係です。

また、両者は多くの北米血脈を含んでいて、その点でエスポワールシチーと相性が良いと判断しています。

総合的に考えて、本馬の血統からはダートのマイル以下でスピードを発揮するようなイメージを持っています。

 

本馬に関してお問い合わせがございましたら、牧場公式サイトからご連絡いただくか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入くださるようお願いいたします。

当場から折り返し連絡させていただきます。