【セレクションセール】№5ハーランズルビーの2024(牡 父サートゥルナーリア)

今年のセレクションセールには、当場生産馬からプレミアムセッションに2頭、2日目に3頭の計5頭が合格しています。

今回は、そのなかでプレミアムセッションに上場予定の№5ハーランズルビーの2024を紹介させていただきます。

本馬の牝系解説文(ブラックタイプ)はこちらからご参照ください。

 

 

上記の360℃画像は、クリックもしくはタップしながら横にスライドすると回転していきます。

 

【7月7日現在】体高156cm 胸囲175cm 管囲21.0cm 馬体重473kg

 

写真・動画撮影していただいたときはまだまだ草太りの馬体でしたが、セール2ヶ月前からセリ馴致を始めるなかで絞れてきて、より雰囲気のあるスタイルになってきました。

本馬は現在、草太りが目立ってくると一時的に制限放牧に切り替える日があるものの、基本的には昼夜放牧をしながらセリ馴致をしています。

当場の方針として、当場内でセリ馴致する際はセールに上場することだけを目的とせず、将来の競走馬という意味でもしっかりと基礎体力を付けて送り出したい思いから昼夜放牧も同時に実施しています。

G2日経新春杯勝ちのモズベッロ(2017年セレクションセール取引馬)、国内外の重賞を4勝している現役馬ディープボンド(2018年セレクションセール取引馬)、G3エルムS勝ち馬フルデプスリーダー(2018年セレクションセール取引馬)、昨年のG2札幌記念のほかG2AJCCとG3エプソムCの勝ち馬ノースブリッジ(2019年セレクションセール取引馬)、そして昨年のG3葵SとG3北九州記念の勝ち馬ピューロマジック(2022年セレクションセール取引馬)。

彼らはすべて当場生産によるセレクションセール上場馬ですが、当場内で昼夜放牧をしながらセリ馴致をしてセール上場した馬たちです。

正直なところ、昼夜放牧をしながらセリ馴致をすると疲労が溜まりやすいのですが、そのあたりは獣医に相談するなどして適切なケアをしてもらって対応しています。

これまで同様、セール当日に向けて細心の注意を払いながらセリ馴致を進めていきます。

 

本馬はG2日経新春杯勝ち馬モズベッロの半弟になります。

本馬の母ハーランズルビーは芝向きの種牡馬を配合すると芝向きの産駒が、ダート系種牡馬を配合するとダート馬を出す傾向にあります。

半兄モズベッロは芝の中距離を得意としていた馬なので、そのカテゴリーに属する種牡馬サートゥルナーリアを配合して本馬が生まれました。

そのサートゥルナーリアの初年度産駒は現3歳になります。

彼の産駒にはG2京都新聞杯勝ち馬ショウヘイや、G3毎日杯勝ち馬ファンダムがいるなど、やはり父が得意としていた芝中距離で活躍している印象です。

産駒の勝ち馬の比率も、芝の勝ち鞍が8割に対してダートが2割なので、基本的には芝向きの産駒を出す種牡馬なのでしょう。

そのサートゥルナーリア産駒について、初年度産駒が現3歳なので多くのデータはないものの、獲得賞金上位50頭の血統傾向を調べると以下のような特徴が見られました。

 

①Halo(もしくはその息子サンデーサイレンス)のクロスを持つ産駒 39頭/50頭

②母方にNasrullah/Princequilloに代表されるようなNearco/Prince Roseのニックから成る血を持つ産駒 35頭/50頭

③Mr.Prospectorクロスを持つ産駒 26頭/50頭

④Buckpasserクロスを持つ産駒 19頭/50頭

⑤Special(Nureyevの母、Sadler’s Wellsの2代母)クロスを持つ産駒 15頭/50頭

⑥Nijinskyクロスを持つ産駒 12頭/50頭

 

①に関しては、母方にサンデーサイレンスの血が入っていれば満たされる条件なので、特別珍しい傾向ではありません。

本馬の場合は、母ハーランズルビーがHalo4×3を持っているので該当します。

②に関しては例えばSecretariat、Seattle Slew、Sir Gaylord、Riverman、Mill Reefのような血脈が該当します。

これについては、父サートゥルナーリアがSecretariatやSir Gaylordあるいはマルゼンスキーといった同様の血統背景を持つ血脈を複数保有している点が関係しているのかもしれません。

本馬の母もまた、Secretariat5×5やDowagerといった同傾向の血脈を持つので、本馬は②にも該当します。

サートゥルナーリアが持っていた血統パターンを踏襲することで、父の持つ競走能力が本馬に遺伝されることが期待できます。

③に関しては、母方にGone Westを通じてMr.Prospectorの血を持っているので本馬も該当します。

④については、母方にBuckpasserの血が含まれていないので本馬には該当しません。

⑤のSpecialはNureyevの母、Sadler’s Wellsの2代母にあたる名牝で、優秀な競走馬の血統表にしばしば登場する名前です。

父サートゥルナーリアはその父方にNureyevを、母方にはSadler’s Wellsの血を持つため、結果としてSpecialのクロスを持つ血統パターンをしています。

この血統パターンを踏襲するサートゥルナーリア産駒も活躍傾向にあるということでしょう。

なお、本馬の母方にはSpecialの血はないので⑤には該当しません。

⑥のNijinskyクロスに関しては、本馬の母方にこの血がないので該当しません。

ただ、父サートゥルナーリアの血統においては、自身でNijinsky7×5を持つほか、このNijinskyと相似な血の関係であるStorm Birdの血を合わせてStorm Bird≒Nijinskyの相似クロスを形成しています。

 

 

いずれも父がNorthern Dancerで、母の父がBull Pageもしくはその息子という点で共通しています。

本馬の血統にはNijinskyクロスはないものの、Storm Cat4×4のクロスを通じて父の持つStorm Bird≒Nijinskyを強化するような配合にしています。

 

サートゥルナーリア産駒にはまだG1勝ち馬は出ていないものの、産駒の血統傾向を見る限り、HaloやMr.Prospectorといった素軽いスピード血脈が強化されていて、そこにSpecialの瞬発力やNearco/Prince Roseがもたらす持続するスピードが加わっている印象です。

さらには、他の2つの傾向であるBuckpasserやNijinskyのクロスは底力やパワー、重厚なスタミナを与えてくれます。

このような血統傾向を伝えることができるサートゥルナーリアならば、そのうちG1勝ち馬も出してくるでしょう。

 

本馬の緩さを残す馬体は、半兄モズベッロにも見られた特徴だったので、母由来と感じさせるものがあります。

一方で、気性面は1歳馬のなかでは大人びていて、牡馬らしく放牧地で他馬に仕掛ける面など競走馬向きの気性をしていると感じています。

馬格もあるので早期のデビューというタイプではないかもしれませんが、モズベッロのように古馬に向けて成長しながらしっかりと結果を残せる馬に育ってほしいです。

 

本馬に関してお問い合わせがございましたら牧場公式サイトからご連絡いただくか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入くださるようお願いいたします。

当場から折り返し連絡させていただきます。

 

【セレクトセール当歳】№436アメージングムーンの2025(牡 父イクイノックス)

昨年につづき、今年も当場からセレクトセール当歳に合格馬が出ています。

今年は当場から1頭のみの申込でしたが、アメージングムーンの2025(牡、父イクイノックス)が合格してくれました。

本馬の牝系解説文はこちらからご参照ください。

 

※2025年6月18日撮影

【誕生時】58kg 【6月23日現在】245kg

 

本馬は今年の当場生産における当歳馬のなかで、最も早く生まれた馬です。

すでに複数組の下見のお客様にご視察いただいていますが、他の牧場さんでも複数のイクイノックス産駒を見ているお客様によると、彼の産駒にはさまざまなタイプがいる模様。

そのなかにあって、少なくとも本馬は比較的しっかりとした馬体のつくりをしているタイプだと言えます。

誕生時や月齢を考慮した現在の馬体重を比較しても、標準よりやや大きめのサイズだと考えます。

本馬の配合においてはモデルになった馬がいて、それが現2歳の半兄スワーヴマルス(父キタサンブラック)です。

彼は、2023年のセレクトセール当歳に上場して1億9000万円(税抜き)で落札していただいた馬です。

生産した当場としても非凡な馬体をしている馬だと感じていましたし、良血馬・高額馬が多数上場されるセレクトセールに上場しても恥ずかしくない当歳牡馬だと思っていました。

結果、当場が予想した以上の評価をいただき現在の馬主様に落札いただきましたが、今回の当歳牡馬も良い出来で生まれてくれました。

父イクイノックス自身の競走成績は素晴らしいものであり、特に最後のレースとなったG1ジャパンCまでG1を6連勝したのは圧巻でした。

彼自身の血統パターンには彼の2代父であるブラックタイドと、彼の母父キングヘイローによる相似クロスの関係があります。

 

 

互いにHalo、Lyphard、Sir Ivorの血を持つ点で共通しています。

かなりの相似な血の関係ですが、当場でも国内外のG2を4勝してくれたディープボンドでこの配合パターンを試して成功しています。

ディープボンドの2代父ディープインパクトはブラックタイドの全弟であり、ディープボンドの母父はイクイノックスと同じくキングヘイローという関係です。

本馬とディープボンドは同じモガミヒメ牝系の出身であることも考慮すると、本馬とディープボンドは血統パターンが似ています。

 

 

いずれもディープインパクト(ブラックタイド)、キングヘイローそしてモガミヒメの血を持つ点で共通しています。

当場の特徴とも言えるモガミヒメ牝系に対してキングヘイローの血が合うことは、この牝系からキングヘイローの代表産駒の一頭であるローレルゲレイロや、他にもJRAで複数頭の勝ち馬が出ていることでその相性の良さが証明されています。

血統的な観点からも、キングヘイローとモガミヒメの血は相性が良いと考えています。

ここでは割愛しますが、両者の血統的関係は当場の旧ブログで以前紹介しているので、興味のある方は下記のリンクからご参照ください。

 

【血統・配合】キングヘイロー×モガミヒメ牝系

 

このように、キタサンブラック産駒の半兄の出来だけでなく、キタサンブラックにキングヘイローの血が加わったイクイノックスとの血統的相性も考慮して本馬が誕生しました。

牡馬らしいしっかりとした馬体と、人懐っこい気性を備えた当歳牡馬です。

昼夜放牧が始まり、下見のお客様に何度も視察していただくなかで、当歳馬ながらその振る舞いにも少しずつ成長が見られるようになってきました。

この記事を執筆している時点で、セール当日まで約3週間となりました。

当場としても、本番当日に立派な馬体で皆様にご覧いただけるように今後も飼養管理に努めてまいります。

本馬に関してお問い合わせがございましたら、牧場公式サイトからご連絡いただくか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入くださるようお願いいたします。

当場から折り返し連絡させていただきます。

 

当場生産馬のドンアミティエが天王山Sを制してOP3連勝!

4月26日(土)の京都第11R天王山S(OP、ダ1200)に、当場生産馬のドンアミティエが出走しました。

 

 

りんくうS、大和SとOP2連勝で臨んだこのレースでは、堂々の1番人気に支持されての出走でした。

好スタートを決めたドンアミティエは、無理せず流れを見ながら4~5番手あたりでレースを進めていきます。

3~4コーナーでペースが速くなっても馬なりで上がっていって、最後の直線を迎えてから鞍上のゴーサインで一気に加速してきます。

グングンと力強く伸びていったドンアミティエは先頭の2頭をゴール前で交わして、最後は2着馬に1/2差をつけて優勝しました。

馬主様をはじめ関係者の皆さま優勝おめでとうございます。

本馬は、2021年のサマーセールにて現在の馬主様にご購買いただきました。

サマーセール上場に向けての当時の記事はこちらからご参照ください。

 

【1歳時のドンアミティエ】

 

今回は59kgでの出走ということもあり、そういう点がどう影響するかと思っていましたが、OP連勝してくれている馬だけあって底力を見せてくれました。

同レースにはもう一頭の生産馬タイセイブリリオも出走していたこともあり、私自身も京都競馬場まで応援に行っていてレース観戦していました。

ドンアミティエは本来ならば交流重賞に行きたかったようですが、この路線は層が厚くて意外とレース数も限られているようで、結局このレースに回っての出走だったようです。

このブログでも何度が書いていますが、夏場があまり得意ではない馬のようなので、このあとは夏休みに入る可能性があります。

OP3連勝してくれたので、次こそは重賞に出走できるのではと思っていますし、いまの充実ぶりならば好走してくれそうな期待感があります。

そして、今後も無事に馬主様のために走り続けてくれたらと願っています。

 

当場生産馬のタイセイディアマン号が3歳未勝利を快勝!

3月29日阪神第3R(3歳未勝利)に、当場生産馬のタイセイディアマン号が出走しました。

 

 

前走の芝1400の新馬戦では、残念ながら11着と敗れていたタイセイディアマン。

デビュー前の調教ではかなり動いていた印象だったので、正直これほど負けるとは思っていませんでした。

このデビュー戦のあと、オーナーサイドから「半兄タイセイブリリオが現在ダートの短距離で頑張ってくれているし、次走はダート短距離を試そうと思う」と伺っていました。

このダート替わりが評価されたのか、ダート1200という今回のレースでは4番人気に支持されていました。

レースでは無難にスタートを切って、中団の位置でレースを展開していくディアマンでしたが、鞍上の動きを見るとずっと外に張り気味に走っていた模様。

結果として、4コーナーから最後の直線を迎える際にもかなり外目のコースを取っていました。

それでも直線に向いてからはしっかり伸びてきて、最後は2着馬に1馬身差を付けて優勝しました。

馬主様をはじめ関係者の皆さま優勝おめでとうございます。

本馬は庭先取引にて現在の馬主様にご購買いただきました。

リステッドレースのマーガレットS(芝1200)で2着しているメルテッドハニーの全弟であること、また半兄タイセイブリリオも芝で3勝していることからまずは芝でデビューしましたが、結果的に本馬はダート適性が高かったのでしょう。

半兄タイセイブリリオがOP入りするなど、最近は本馬の祖母メリュジーヌを祖とする牝系も頑張ってくれています。

来週には、本馬の従姉ピューロマジックがドバイのG1アルクォーツスプリント(芝1200)に出走予定です。

この牝系がさらに発展できるように、当場としても力を入れていきたいと思います。

 

新たに当歳馬3頭が誕生

新たに3頭の当歳馬が誕生しています。

3月11日にはクラシックスがキタサンブラックの牝馬を出産しました。

キタサンブラック産駒らしい、素軽いやや薄手の馬体をしています。

 

また、3月14日にはメリオールがマジェスティックウォリアーの牝馬を出産しています。

10日以上早く生まれましたが、馬格は普通サイズに出てくれていて、牝馬ながらしっかりとした馬体からはダート適性を感じさせます。

 

そして、本日3月17日にはジョワユーズがインディチャンプの牡馬を出産しました。

こちらは逆に2週間以上遅れての出産でしたが、その分立派な馬格で生まれてくれて、現在まで生まれている当歳馬のなかでは最高体重となる67kgという出産時馬体重でした。

 

今年の出産予定が例年より少ないこともありますが、当場における出産も残り5頭となりました。

一方で、1歳馬のHBAセレクションセールの申込が終了するなど、牧場全体で改めて気を引き締めることが多い時期を迎えています。