2025年08月16日
当場から、8月21日のサマーセール4日目に生産馬3頭を上場予定です。
3頭のうち、最後に紹介させていただくのは№831フルオブスターズの2024(牡、父ホッコータルマエ)です。
本馬の牝系解説文(ブラックタイプ)はこちらからご参照ください。
【8月13日現在】体高155cm 胸囲173cm 管囲20.6cm 馬体重430kg
本馬は、当場1歳分場にて昼夜放牧しながらセリ馴致中です。
当場の方針として、当場内でセリ馴致する際はセールに上場することだけを目的とせず、将来の競走馬という意味でもしっかりと基礎体力を付けて送り出したい思いから昼夜放牧も同時に実施しています。
結果としてG2日経新春杯勝ちのモズベッロ、国内外の重賞を4勝したディープボンド、G3エルムS勝ち馬フルデプスリーダー、昨年のG2札幌記念のほかG2AJCCとG3エプソムCの勝ち馬ノースブリッジ、そして先日のG3アイビスサマーダッシュを含めて重賞3勝のピューロマジックたちが活躍馬として出てくれていますが、彼らは当場生産のセール上場馬です。
また、サマーセール上場馬に限定すると、JRAでOPクラスまで行ったオセアダイナスティ(2019年サマーセール取引馬)や、現役馬ではダートOPを3連勝して今年のG3函館スプリントS3着のドンアミティエ(2021年サマーセール取引馬)などが当場生産のサマーセール上場馬になります。
正直なところ、昼夜放牧をしながらセリ馴致をすると疲労が溜まりやすいのですが、そのあたりは獣医に相談するなどして適切なケアをしてもらって対応しています。
これまで同様、セール当日に向けて細心の注意を払いながらセリ馴致を進めていきます。
本馬の父ホッコータルマエは、現2歳世代を含めると6世代がデビューしていることになります。
そのなかで、今年初めてJRA重賞制覇のブライアンセンス(G3マーチS)を出しました。
これだけ見ると種牡馬成績がイマイチに感じるかもしれませんが、JRAでの産駒の勝ち馬率は35%を越えます。
また、交流重賞勝ち馬としては初年度産駒からレディバグ(Jpn3)、メイショウフンジン(Jpn3)、2年目産駒からブリッツファング(Jpn2)、3年目産駒からはゴライコウ(Jpn3)が出ています。
さらに地方重賞まで視野を広げると、20頭近い重賞勝ち馬が出ていて、JRAも含めてダート路線では信頼できる種牡馬になってきています。
ホッコータルマエ自身はダート中距離が得意でしたが、産駒に関してもある程度の距離のダートで成績を残している印象です。
本馬はダート血統の割りには軽めの馬体をしていて、そのなかでも四肢の筋肉がしっかり付いていますが、これはホッコータルマエ産駒にしばしば見られる特徴です。
また、本馬はケンタッキーダービーとBCクラシックを制したUnbridledを4×3で持っていて、血統的にもダート中距離に適性を示す可能性を感じさせます。
そのホッコータルマエについて、獲得賞金上位50頭の産駒の血統傾向を調べてみると以下のような特徴が見られました。
①母方にHaloの血を持つ産駒 34頭/50頭
②産駒の母方にNasrullah/Princequilloの組み合わせに代表されるようなNearco系×Prince Rose系のニックから成る血脈が存在する 33頭/50頭
③Mr.Prospectorのクロスを持つ産駒 26頭/50頭
④Njiinskyクロスを持つ産駒 19頭/50頭
⑤Buckpasserクロスを持つ産駒 14頭/50頭
⑥母方にRobertoの血を持つ産駒 12頭/50頭
①の母方にHaloの血を持つ産駒については、母方にHaloの息子であるサンデーサイレンスの血が入っていれば該当する項目です。
現代日本のトレンド血脈なので、ほとんどの繁殖牝馬が持つ血脈とも言えます。
本馬の母フルオブスターズも母父がサンデーサイレンスなので、①に該当します。
②のNearco系×Prince Rose系のニックから成る血脈というのは例えばSecretariat、Seattle Slew、Sir Gaylord、Riverman、Mill Reefのような血脈が該当します。
本馬は母方にSecretariatの血を持つので、②にも該当します。
③のMr.Prospectorのクロスを持つ産駒については、本馬がMr.Prospector4*6×4*5を持つので③にも該当します。
本馬は、④のNjiinskyクロスを持つ産駒には該当しません。
⑤のBuckpasserクロスを持つ産駒については、本馬はこのクロスを持つので該当します。
最後に、本馬は⑥の母方にRobertoの血を持つ産駒には該当しません。
①~⑥の特徴は、他の種牡馬の産駒にもよく見られる特徴であり、繁殖牝馬側も持っている可能性の高い血脈だと思います。
言い方を変えれば、ホッコータルマエはほとんどの繁殖牝馬と相性の良さを発揮する種牡馬と思われ、その結果として産駒の勝ち率が35%以上になっているとも考えられます。
本馬も、6つの項目うち4つの項目を満たしているので、ホッコータルマエ産駒として活躍できる素地はあると考えています。
本馬の血統で、上記6つの項目以外の血統的特徴を挙げるならば、本馬にはトライマイベスト=El Gran Senorの全きょうだいクロス5×4が存在することでしょう。
キングカメハメハ系種牡馬の産駒にはこの全きょうだいクロスを持つ馬が複数存在していて、最近では牝馬3冠を達成したリバティアイランドや今年のG3ダービー卿チャレンジT勝ちのトロヴァトーレなどがこの血統パターンです。
特にトロヴァトーレは、本馬と同じ母父エンパイアメーカーで、自身もMr.Prospectorクロスを持つ点まで同じです。
トライマイベスト=El Gran Senorの全きょうだいクロスを持つ馬はパワーに優れている印象を受けますが、それだけに大舞台のレースに強いのでしょう。
本馬は4月18日生まれで、体高は他馬と遜色ないとはいえ、これからグンと身が入ってきそうな成長途上の段階です。
それでも、ホッコータルマエ産駒らしい雰囲気のあるシルエットをしていますし、気性面でもセリ馴致が進むに連れて大人びてきた印象です。
セール当日まで1週間を切っていますが、良い状態で上場できるように最後まで気を抜くことなく飼養管理に努めてまいります。
本馬に関してお問い合わせがございましたら牧場公式サイトからご連絡いただくか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入くださるようお願いいたします。
当場から折り返し連絡させていただきます。