【セレクションセール】№371エイシンキルデアの2024(牡 父オルフェーヴル)

今年のセレクションセールには当場生産馬が5頭合格していますが、最後に紹介させていただくのは№371エイシンキルデアの2024です。

本馬の牝系解説文(ブラックタイプ)はこちらからご参照ください。

 

 

上記の360℃画像は、クリックもしくはタップしながら横にスライドすると回転していきます。

 

【7月7日現在】体高155m 胸囲173cm 管囲20.3cm 馬体重445kg

 

本馬はセール2カ月前から当場の1歳分場にてセリ馴致を施しています。

当場の方針として、当場内でセリ馴致する際はセールに上場することだけを目的とせず、将来の競走馬という意味でもしっかりと基礎体力を付けて送り出したい思いから昼夜放牧も同時に実施しています。

G2日経新春杯勝ちのモズベッロ(2017年セレクションセール取引馬)、国内外の重賞を4勝したディープボンド(2018年セレクションセール取引馬)、G3エルムS勝ち馬フルデプスリーダー(2018年セレクションセール取引馬)、昨年のG2札幌記念のほかG2AJCCとG3エプソムCの勝ち馬ノースブリッジ(2019年セレクションセール取引馬)、そして昨年のG3葵SとG3北九州記念の勝ち馬ピューロマジック(2022年セレクションセール取引馬)。

彼らはすべて当場生産によるセレクションセール上場馬ですが、当場内で昼夜放牧をしながらセリ馴致をしてセール上場した馬たちです。

正直なところ、昼夜放牧をしながらセリ馴致をすると疲労が溜まりやすいのですが、そのあたりは獣医に相談するなどして適切なケアをしてもらって対応しています。

これまで同様、セール当日に向けて細心の注意を払いながらセリ馴致を進めていきます。

 

本馬の母エイシンキルデアは、国内の繁殖馬セールで購買した馬です。

本馬のきょうだいのなかで、当場が配合段階から携わった産駒はインテグレイト(牡4歳、父キタサンブラック、現JRA2勝)が最初の当場生産馬になります。

エイシンキルデアの産駒はこのインテグレイト、現3歳のマイキー(牡、父ヘニーヒューズ、現南関東2勝)、現2歳の半兄(父インディチャンプ)そして本馬と、すべてセレクションセールに合格しています。

バランスの取れた好馬体がこのきょうだいの特徴で、それは本馬にも言えると思います。

本馬は5月生まれながらすでに体高は155cmあり、まだまだ成長段階にあります。

誕生時も63kgで生まれていて、一部の小柄なオルフェーヴル産駒とは異なる成長曲線を描いています。

オルフェーヴル産駒に関しては、気性面を懸念される方もいらっしゃいますが、本馬に関しては当場の1歳牡馬のなかでも普段から扱いやすいと言えます。

また、セリ馴致を始めてからもウォーキングマシンや馬運車に対して比較的早く順応してくれたので、賢さも備えていると思います。

もちろん、当場を巣立って後期育成に入ればピリッとした面が出てくるでしょうが、牡馬ならばそのくらいが望ましいでしょう。

そのオルフェーヴル産駒について、獲得賞金上位50頭の産駒の血統傾向を調べてみると以下のような特徴が見られました。

 

①母方にNasrullah/Princequilloに代表されるようなNearco/Prince Roseのニックから成る血を持つ産駒 34頭/50頭

②母方にMr.Prospectorの血を持つ産駒 30頭/50頭

③母方にSpecial(Nureyevの母、Sadler’s Wellsやジェイドロバリーの2代母)の血を持つ産駒 21頭/50頭

④Halo(もしくはその息子サンデーサイレンス)のクロスを持つ産駒 19頭/50頭

⑤母方にBuckpasserの血を持つ産駒 16頭/50頭

⑥母方にGraustarkもしくはその全弟His Majestyの血を持つ産駒 10頭/50頭

 

①のNearco/Prince Roseのニックから成る血というのは例えばSecretariat、Seattle Slew、Sir Gaylord、Riverman、Mill Reefのような血脈が該当します。

本馬の母エイシンキルデアは、Sir GaylordやRose Bowerの血を持つので①に該当します。

この傾向を豊富に持つ血統は質が高く、柔軟性に優れている印象があります。

②の母方にMr.Prospectorの血を持つ産駒というのは、オルフェーヴルの代表産駒ラッキーライラック(母父がMr.Prospector系のFlower Alley)やG1ドバイワールドC勝ち馬ウシュバテソーロ(母父がMr.Prospector系のキングカメハメハ)に見られる血統傾向です。

オルフェーヴルの血統はステイゴールド×メジロマックイーン牝馬の組み合わせなので、血統的イメージからは中長距離向きの印象を受けます。

日本競馬にフィットするには、北米血脈のなかでもスピード血脈として知られているMr.Prospectorの血を入れるのは理に適っているようにも思えます。

本馬の母方にはMiswakiを通じてMr.Prospectorの血を持つので②にも該当します。

③の母方にSpecialの血を持つ産駒に関しては、ある程度血統や配合を勉強している方々にとって、オルフェーヴルにSpecialの血を持つ繁殖牝馬との配合は良さそうと予想できたかなと思います。

すなわち、オルフェーヴルの3代母の父Lt.Stevensが、Specialの母Thongの全兄にあたる関係だからです。

さらに言えば、エレクトロアート≒Specialという相似クロスを形成できるほどの関係も見えてきます。

 

 

Lt.Stevens=Thongの全きょうだいのほかに、エレクトロアートの父ノーザンテーストはLady Angela3×2を通じてHyperion4×3を持ちます。

また、Specialの父ForliはHyperionの孫にあたる血統であり、エレクトロアート≒Specialと見なせるほどの関係です。

本馬の母方にはKitten’s Joyの血を通じてSpecialを持つので③にも該当します。

④のHaloもしくはサンデーサイレンスのクロスについては本馬は該当しません。

ただ、本馬の母方にはHaloと相似クロスを形成するSir Ivorの血が入っていて、このあたりは意識した配合になっています。

⑤の母方にBuckpasserの血を持つ産駒については、本馬の母エイシンキルデアがBuckpasser5×4*5を持つので本馬は⑤に該当します。

⑥のGraustarkやHis Majestyの血に関しては、本馬の母方にはないので⑥には該当しません。

 

このように、本馬の母エイシンキルデアの血統はオルフェーヴルに合うはずだとの思いから、本馬の配合そして誕生に至っています。

エイシンキルデア自身の体高があるので、小柄な馬体に出る可能性のあるオルフェーヴル産駒の傾向を補完する意味でもちょうど良い繁殖牝馬でした。

改めて本馬の馬体を見てみると、オルフェーヴル産駒らしい芝・ダート問わない馬体をしていると思います。

特にオルフェーヴルの影響を感じている点は、本馬の体質です。

昼夜放牧をしながらセリ馴致を施していると関節などの疲れや痛みから、獣医に診察してもらう1歳馬がほとんどのなかで、本馬はその頑強さからそのような治療を一度も受けずにここまできました。

5月生まれでもセレクションセールで十分に勝負できる、と思わせてくれるほどの成長を遂げてくれた本馬。

セレクションセール2日目の上場に向けて、最後まで気を抜かずに飼養管理に努めていきます。

 

本馬に関してお問い合わせがございましたら、牧場公式サイトからご連絡いただくか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入くださるようお願いいたします。

当場から折り返し連絡させていただきます。

 

 

【セレクションセール】№247アヴォンリーの2024(牝 父エスポワールシチー)

今年のセレクションセールには当場生産馬が5頭合格していますが、今回はセレクションセール2日目に上場予定の№247アヴォンリーの2024を紹介させていただきます。

本馬の牝系解説文(ブラックタイプ)はこちらからご参照ください。

 

 

上記の360℃画像は、クリックもしくはタップしながら横にスライドすると回転していきます。

 

【7月7日現在】体高155m 胸囲178cm 管囲20.0cm 馬体重455kg

 

本馬の母アヴォンリーはJRAのダートで3勝した馬で、ダート1200という短めの距離を得意としていました。

アヴォンリーのきょうだいはもう少し距離があった方がよいタイプが多いので、アヴォンリーの短距離スピードは彼女の父ヘニーヒューズに由来するものと見て間違いないでしょう。

実際、アヴォンリーはヘニーヒューズの牝馬らしく、普段から気の強さを前面に出すタイプの馬です。

ただし、馬格のほうは彼女の母ラヴァーズレーンの産駒らしく、牝馬ながら現役時代は480kg前後で競馬できたほどの恵まれた馬体をしています。

本馬も1歳牝馬としては十分な馬格を備えていて、このあたりは馬格のある父母から生まれた点が大きいでしょう。

現在は、地元の育成公社さんにセリ馴致のために預かってもらっています。

 

本馬の父エスポワールシチーは、ダート系名種牡馬ゴールドアリュールの後継種牡馬として実績のある種牡馬です。

特に交流重賞で活躍している印象が強く、その最たる例は交流G1JBCスプリント勝ち馬イグナイターでしょう。

そのエスポワールシチー産駒について、獲得賞金上位50頭の産駒の血統傾向を調べてみると以下のような特徴が見られました。

 

①母方にMr.Prospectorの血を持つ産駒 38頭/50頭

②母方にNasrullah/Princequilloに代表されるようなNearco/Prince Roseのニックから成る血を持つ産駒 26頭/50頭

③母方にBuckpasserの血を持つ産駒 21頭/50頭

④Nureyevクロス、あるいはNureyev≒Sadler’ s Wells(Fairy King)の相似クロスを持つ産駒 17頭/50頭

⑤Haloまたはサンデーサイレンスのクロスを持つ産駒 15頭/50頭

⑥Nijinskyクロスを持つ産駒 15頭/50頭

⑦Danzigクロスを持つ産駒 15頭/50頭

 

①の母方にMr.Prospectorの血を持つ産駒が活躍傾向にあるというのは、父エスポワールシチーがHail to Reason4×4を持っていることに関係しているように思います。

Hail to Reasonの血は、Mr.Prospectorの母Gold Diggerと相似クロスを形成する関係だからです。

 

 

両者の父系はRoyal Charger≒Nasrullahの関係があり、そのほかにもBlue LarkspurやSir Gallahad=Bull Dogの血を持つ点で共通しています。

父エスポワールシチーが現役時にダート1600前後を得意としていたことを考慮すると、このHail to ReasonとMr.Prospectorという北米のスピード血脈を活かす配合は、父の競走能力を受け継がせるには理に適っていると考えます。

本馬は母方にMr.Prospectorの血を持たないので①には該当しないのですが、母方にあるAlydarの母Sweet ToothもまたHail to Reasonと相似クロスを形成する関係なので、この項目に近い配合だと言えます。

②のNearco/Prince Roseのニックから成る血というのは例えばSecretariat、Seattle Slew、Sir Gaylord、Riverman、Mill Reefのような血脈が該当します。

本馬は母方にSecretariatやボールドラッドの血を持つので②に該当します。

③については、本馬は母方にマルゼンスキーを通じてBuckpasserの血を持つので該当します。

この③については、①と連動して母方にMr.Prospector×Buckpasser牝馬から成る血(Seeking the GoldやWoodman、マイニングなど)を持つエスポワールシチー産駒が活躍傾向にありました。

この①と③の傾向を見る限り、母方に北米血脈が多いほうがエスポワールシチー産駒は活躍する傾向にあるのかなと感じます。

本馬は母父ヘニーヒューズなので、母方に比較的多くの北米血脈を内包しています。

ただ、その一方で④のNureyevクロスやNureyev≒Sadler’ s Wells(Fairy King)の相似クロスは欧州血脈と言えるものです。

エスポワールシチーがゴールドアリュール系種牡馬と考えた場合、ゴールドアリュール産駒のなかにはクリソベリルのように④の血統的特徴を強く持つ活躍馬もいます。

この父系の種牡馬に配合する場合、④のような特徴を活かす配合は有効なのかもしれません。

ただ、本馬は④には該当しません。

⑤のHaloまたはサンデーサイレンスのクロスを持つ産駒については、現代の多くの繁殖牝馬がサンデーサイレンスの血を持つので、このような血統的特徴を持つ馬は自然と多くなります。

ただ、その割りにはエスポワールシチーの活躍産駒のなかで大きなウェイトを占めてないように感じます。

エスポワールシチー産駒においては、必ずしもこの系統のクロスを必要としないのかもしれません。

本馬は⑤には該当しません。

⑥のNijinskyクロスを持つ産駒については、個人的な見解として、このクロスを持つ馬には胴回りがしっかりした産駒が多い印象を受けます。

エスポワールシチー自身は、ダート系種牡馬の割りには馬体に素軽さがあるので、ダート系のパワーを加えようとするならばこのNijinskyクロスは有効なのかもしれません。

本馬は⑥に該当します。

⑦のDanzigの血については、エスポワールシチー産駒のようにダートでスピードを発揮するタイプにとって、立派なトモをもたらずDanzigの血とは相性が良いのでしょう。

本馬の母方にはDanzigの血がないので⑦には該当しません。

 

こうして見ると、本馬の血統は7項目中4項目のみ該当ということになります。

一方、母アヴォンリーの血統はトキノステラの2024の記事でも触れたように、Storm Cat系×モガミヒメ牝系の血統パターンを持ちます。

この配合から重賞4勝のディープボンドや現役OP馬のドンアミティエが出るなど、当場で何度も試みてきた配合であり、彼女もまたこの配合から生まれています。

実際、アヴォンリー自身もJRAで3勝クラスまで行った馬で、現役時は優秀な競走能力を発揮してくれました。

Storm Cat系×モガミヒメ牝系の配合で最大のポイントは、Storm Cat≒モガミポイント(モガミヒメの母)の相似クロスができる点です。

 

 

この両者は、Storm Bird≒NijinskyやSecretariat≒ボールドラッドでリンクしていて血統的な類似性が高い関係です。

また、両者は多くの北米血脈を含んでいて、その点でエスポワールシチーと相性が良いと判断しています。

総合的に考えて、本馬の血統からはダートのマイル以下でスピードを発揮するようなイメージを持っています。

 

本馬に関してお問い合わせがございましたら、牧場公式サイトからご連絡いただくか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入くださるようお願いいたします。

当場から折り返し連絡させていただきます。

 

 

【セレクションセール】№200トキノステラの2024(牡 父ミスターメロディ)

今年のセレクションセールには当場生産馬が5頭合格していますが、今回はセレクションセール2日目に上場予定の№200トキノステラの2024を紹介させていただきます。

本馬の牝系解説文(ブラックタイプ)はこちらからご参照ください。

 

 

上記の360℃画像は、クリックもしくはタップしながら横にスライドすると回転していきます。

 

【7月7日現在】体高157cm 胸囲178cm 管囲20.3cm 馬体重461kg

 

本馬はセール2カ月前から当場の1歳分場にてセリ馴致を施しています。

当場の方針として、当場内でセリ馴致する際はセールに上場することだけを目的とせず、将来の競走馬という意味でもしっかりと基礎体力を付けて送り出したい思いから昼夜放牧も同時に実施しています。

G2日経新春杯勝ちのモズベッロ(2017年セレクションセール取引馬)、国内外の重賞を4勝したディープボンド(2018年セレクションセール取引馬)、G3エルムS勝ち馬フルデプスリーダー(2018年セレクションセール取引馬)、昨年のG2札幌記念のほかG2AJCCとG3エプソムCの勝ち馬ノースブリッジ(2019年セレクションセール取引馬)、そして昨年のG3葵SとG3北九州記念の勝ち馬ピューロマジック(2022年セレクションセール取引馬)。

彼らはすべて当場生産によるセレクションセール上場馬ですが、当場内で昼夜放牧をしながらセリ馴致をしてセール上場した馬たちです。

正直なところ、昼夜放牧をしながらセリ馴致をすると疲労が溜まりやすいのですが、そのあたりは獣医に相談するなどして適切なケアをしてもらって対応しています。

これまで同様、セール当日に向けて細心の注意を払いながらセリ馴致を進めていきます。

 

本馬の父ミスターメロディは現3歳世代が初年度産駒です。

ミスターメロディ自身はG1高松宮記念(芝1200)とG3ファルコンS(芝1400)を勝っていて、芝短距離で好成績を収めた馬ですが、一方でダートでも2勝していてこのあたりはStorm Cat系らしさを感じさせます。

彼の初年度産駒からは重賞勝ち馬こそまだ出ていませんが、クラスペディアがリステッドのクロッカスS(芝1400)を、スリールミニョンもOPのききょうS(芝1400)を制していて、父の産駒らしい適性を示しています。

一方で、初年度産駒が3歳時を迎えるとダートでの勝ち鞍も増えてきて、このあたりもミスターメロディが現役時に芝・ダートともに勝ち鞍があることと関係がありそうです。

いずれ世代が揃ってくると、彼の産駒の適性を含めたレースの使い方もわかってくるでしょうから、そのうち重賞戦線で活躍する馬も出てくるでしょう。

そのミスターメロディ産駒について、初年度産駒が現3歳なのでデータは少ないものの、獲得賞金上位50頭の産駒の血統傾向を調べてみると以下のような特徴が見られました。

 

①Halo(もしくはその息子サンデーサイレンス)の血を持つ産駒 40頭/50頭

②母方にNasrullah/Princequilloに代表されるようなNearco/Prince Roseのニックから成る血を持つ産駒 40頭/50頭

③母方にBuckpasserを持つ産駒 25頭/50頭

④Nijinskyクロスを持つ産駒 17頭/50頭

⑤Mr.Prospectorクロスを持つ産駒 16頭/50頭

 

①に関しては、母トキノステラがキングヘイローを通じてHaloの血を持っているので、本馬は①に該当します。

ただ、母方にHaloの息子サンデーサイレンスの血を持つ馬は非常に多いので、特徴と呼べるものかは微妙なところです。

②のNearco/Prince Roseのニックから成る血というのは例えばSecretariat、Seattle Slew、Sir Gaylord、Riverman、Mill Reefのような血脈が該当します。

本馬は母方にSir Gaylordやボールドラッドの血を持つので②にも該当します。

私個人の見解としては、Storm Cat系種牡馬にNearco/Prince Roseのニックから成る血を強化する配合を試みると、活躍傾向にあるように感じます。

③の母方にBuckpasserの血を持つ産駒については、④のNijinskyクロスを持つ馬にも関係していると考えます。

④のようにNijinskyクロスを持つミスターメロディ産駒が母方にBuckpasserの血を持つ場合、Nijinskyの母Flaming PageとBuckpasserによるFlaming Page≒Buckpasserの相似クロスができます。

 

 

いずれの血脈もMenow、Bull Dog、Man o’WarそしてBlue Larkspurの血を持つ点で共通していて、血統的類似性が高い関係です。

また、ミスターメロディはBetter Selfの血を持っていますが、これはBuckpasserの母Busandaと相似クロスを形成します。

 

 

こちらはBlack ToneyとLa Troienne、さらにWar AdmiralやBaba Kenny≒Blur Larkspurなど血統的類似性が非常に高い関係です。

ミスターメロディの血統を調べている際に、上記のようなことからNijinskyやBuckpasserの血を持つ繁殖牝馬とは合うかもと感じていました。

そこで、Nijinsky×Buckpasser牝馬の配合から生まれたマルゼンスキーの血を引くトキノステラにミスターメロディを配合し、結果として本馬が生まれたという経緯があります。

次に⑤についてですが、本馬の母トキノステラはMr.Prospectorの血を持っていないので⑤には該当しません。

ただ、トキノステラはMr.Prospectorと相似クロスを形成するAlydarの血は持っているので、⑤に近い血統パターンではあります。

 

このように、現状はミスターメロディ産駒のデータが少ないながらも、本馬の血統パターンは彼の活躍産駒のそれに近い配合になっています。

一方で、母トキノステラの血統自体に焦点を当てると、当場が長年試してきたキングヘイロー×モガミヒメ牝系の配合から生まれた馬です。

ここでは割愛しますが、キングヘイロー×モガミヒメ牝系の血統的関係については当場の旧ブログで以前紹介しているので、興味のある方は下記のリンクからご参照ください。

 

【血統・配合】キングヘイロー×モガミヒメ牝系

 

本馬は2番仔になりますが、母の全姉ゼフィランサスは重賞勝ち馬ディープボンドを出しています。

また、もう一頭の全姉クラシックスはトキノステラと似た競走成績(JRA勝ちなし、南関東にて勝ち鞍あり)ながらも、初年度産駒からJRAダートのOP3連勝のドンアミティエを出しています。

ディープボンドやドンアミティエに共通していることは、両者とも父の血統にStorm Catが含まれることです。

そして、本馬の血統も父がStorm Cat系種牡馬のミスターメロディなので、彼らと血統的特徴が似ています。

 

 

成功している配合を踏襲したことで、本馬が競走馬として成功する確率が少しでも上がってくれればと思います。

 

本馬の場合は、先に体高が伸びてきて、いま現在は飼い食い旺盛で幅が出てきている状況です。

人に甘えるタイプである一方、Storm Cat系そしてモガミヒメ牝系らしい気の強さも併せ持つ馬です。

フレームがしっかりした馬なので、これからどんどん馬っぷりが良い馬体に育ってくれそうです。

本馬の血統は、父ミスターメロディもそうですが、本馬の属するモガミヒメ牝系も芝・ダートを問わず活躍馬を出しているので適性の幅は広いと思っています。

馬運車の練習なども順調にこなしてくれていて、あとは本番当日まで油断せずに飼養管理していきます。

 

本馬に関してお問い合わせがございましたら、牧場公式サイトからご連絡いただくか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入くださるようお願いいたします。

当場から折り返し連絡させていただきます。

 

【セレクションセール】№26ファーストチェアの2024(牝 父ヘニーヒューズ)

今年のセレクションセールには、当場生産馬が5頭合格していますが、今回はプレミアムセッションに上場予定の№26ファーストチェアの2024を紹介させていただきます。

本馬の牝系解説文(ブラックタイプ)はこちらからご参照ください。

 

上記の360℃画像は、クリックもしくはタップしながら横にスライドすると回転していきます。

 

【7月7日現在】体高154cm 胸囲176cm 管囲19.3cm 馬体重440kg

 

本馬はセール2ヶ月前から、地元の新冠町にある育成公社さんにセリ馴致のために預けています。

今年はセレクションセールに当場から5頭の合格馬が出ており、そのうち本馬を含めた牝馬2頭については育成公社さんにセリ馴致をお願いしている状況です。

個人的に育成公社さんとは相性が良いと感じていて、現役馬で育成公社さんにセリ馴致をお願いした馬のなかには、JRAのダートOPを3連勝して先日のG3函館スプリントSで3着した当場生産馬ドンアミティエなどがいます。

さて、本馬はG3エルムS勝ち馬フルデプスリーダーの全妹にあたります。

フルデプスリーダーが当場にいた頃は、筋肉質でゴツい馬体が多いヘニーヒューズ産駒のなかにあって、彼の馬体は柔らか味があって丸みのある筋肉を帯びていました。

本馬も、ヘニーヒューズ産駒でありながらそこまで筋肉質の馬体ではなく、牝馬ということもありそれほど重たくもないきれいな馬体をしています。

父ヘニーヒューズは改めてここで記述する必要はないでしょうが、ダート系種牡馬として確固たる地位を築いた名種牡馬です。

22歳という年齢から以前ほど多くの産駒を送り出せてはいませんが、今年も産駒のセラフィックコールが交流重賞を勝っていたり、現在は息子のアジアエクスプレスやモーニンなどが後継種牡馬として頑張ってくれています。

母ファーストチェアは、本馬の全兄フルデプスリーダーのほかにもG3京成杯2着のロジハービン、JRA特別勝ちのヴァフラームなど送り出しています。

ファーストチェアは、血統的に種牡馬アドマイヤムーンの半妹にあたり、牝系は名牝Katiesに遡る良血馬です。

彼女自身は競走馬として大成できませんでしたが、その血統背景から繁殖牝馬として優秀な成績を収めてくれています。

彼女の血統はジャングルポケット×サンデーサイレンス牝馬の配合なので、見方によっては、芝向きとも思える血統のファーストチェアに対してダート系種牡馬のヘニーヒューズを配合したことに違和感を持つ方もいらっしゃるでしょう。

ただ、血統面で詳しく調べても相性が良さそうでしたし、すでにフルデプスリーダーを出しているのであまり迷う配合ではありませんでした。

ファーストチェアに関しては、芝向きの繁殖牝馬というより、質の高い繁殖牝馬というイメージを持って彼女の配合を考えるようにしてきました。

本馬の全兄フルデプスリーダーの馬体は、母父ジャングルポケットの影響もあってか父ほど重心が低くなかったですし、張りのある馬体ながらも太過ぎないという、こちらが望んでいた通りの馬体に出てくれました。

本馬もきれいなシルエットをしていて、それでいながら細すぎもなければ重すぎることもない、牝馬としてちょうど良い馬体で配合が嵌った感があります。

血統面で言えば、ヘニーヒューズ産駒の血統的特徴として、世代を遡りますがヘニーヒューズが持つWar Relic≒Eight Thirtyの相似クロスを継続強化する配合を試みると産駒は活躍傾向にあります。

 

 

本馬も、自身の3代母ケイティーズファーストがRelancee=ポリックの全きょうだいクロスを経て、War Relicを2本持つ血統構成になっています。

 

 

このような血統背景からファーストチェアはヘニーヒューズと相性が良いのでは、という配合的な意図はありました。

言い換えれば、本馬の配合に限らず、ケイティーズハートの牝系はヘニーヒューズと血統的相性が良い可能性があると考えています。

 

母が高齢での産駒ということを懸念される方もいらっしゃるかもしれません。

ただ、当場においては母馬の飼養管理について数種類の配合飼料を組み合わせてみたり、高齢馬にはあまり硬くない飼料を試してみる、あるいはこれまでの出産傾向を考慮しながら給餌量を調整するなど工夫して飼養管理に努めています。

もちろん、それらをしっかり咀嚼、馬体に吸収できるように整歯も定期的に行っています。

それは本馬を含めた生産馬たちについても例外ではありません。

本馬も高齢の母から生まれたとはいえ、他馬に見劣りしない健康的な馬体をしていると思いますので、セール当日は是非本馬にもご注目ください。

 

本馬に関してお問い合わせがございましたら牧場公式サイトからご連絡いただくか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入くださるようお願いいたします。

当場から折り返し連絡させていただきます。

 

【2025セレクトセール当歳】上場馬1頭をご購買いただきました

7月15日、セレクトセール当歳に当場生産の当歳馬№436アメージングムーンの2025(牡、父イクイノックス)を上場しました。

結果、本馬は里見治さまにご購買いただきました。

ご購買いただきました馬主様ならびに関係者の皆さま、誠にありがとうございました。

現2歳の半兄スワーヴマルス(牡、父キタサンブラック)は、セレクトセール当歳2023にて1億9000万円(税別)という非常に高い評価をいただきました。

再びの億越えというのが非常に難しいことは承知していましたが、本馬は名馬イクイノックスの初年度産駒なので、その高い期待感からある程度の評価をいただけるのではと思っていました。

特に本馬自身の馬体は、牧場での下見や当日の比較展示でプロの方々から高い評価をいただいてました。

結果として1億2000万円(税別)で落札していただき、このような非常に高い評価をいただいたことは、当場にとって大きな自信になります。

半兄ノースブリッジやタッチウッドのように重賞路線で活躍できる馬に成長できるように、今後もしっかりと飼養管理に努めてまいります。

改めまして、このたびはセレクトセール当歳で当場生産馬をご購買いただき誠にありがとうございました。

 

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